国内

コロナ禍のペットバブル 非常識な「返品」も多発している

ペットショップでは子犬、子猫でないと売れないという(イメージ、AFP=時事)

ペットショップでは子犬、子猫でないと売れないという(イメージ、AFP=時事)

 犬や猫は法律上「物」であっても実際には「命」である。ところが、命とも思わず捨てる人間がいる。物のように安易にサプライズのプレゼントに使ったり、自分の都合で買った店に返品したりする人間がいる。俳人で著作家の日野百草氏が、コロナ特需に沸くペットショップと売れ残った動物たちの行方、返品などの非常識な客の実態についてレポートする。

 * * *
「やっぱり飼えないから返すって飼い主、本当にいます」

 元ペットショップ店員、篠山あゆみさん(20代・仮名)が小さな声でこぼす。運ばれてからずっとコーヒーに口をつけず、元いたホームセンター併設のペットショップの悪口を一通り語り尽くしたあと、客の非常識について語り始めた。

「ペット禁止の団地でバレたからとか、プレゼントで買ったのに受け取らなかったとか、地獄ですよ」

 一部の専門ブリーダーや特殊な動物を扱うような専門店を除けば、日本のペットショップの大半は顧客の住環境や生活パターンをヒアリングした上で犬や猫を渡すという仕組みがない。ペット禁止の団地やワンルームの住人でも金さえ払えば犬を買える。極端な話、四畳半の独居であっても客は金さえ払えば大型犬を買えるし、店は売れて金になればいい。

「そうです。命が売れればいいんです。命がお金になればいいんです」

 篠山さんは「命」を繰り返すが、ペットショップの販売する生き物は民法上、「物」だ。「この法律において、『物』とは、有体物をいう。」の民法第85条が動物という有体を「物」と判断する根拠となっている。この有体物の中で例外は人間だけだ。つまりペットは排他的に支配できる、所有できる「物」である。日本のペットショップが「命」の売買をできる法的根拠がこの民法第85条だ。かつて人間を売買できたように、犬でも猫でも売買できる。売ってお金にできる。

「それを非難することは私にはできません。バイトでも働いていたわけで。でも働いてみてわかったのは、本当に理解不能な人がたくさんいるということでした。普通、お迎えしたあとに気に入らないとか、やっぱ飼うのやめたで返品したりしませんよね」

 篠山さんがペットショップのアルバイトをした理由は、単純に動物が好きだから。もちろん働いてすぐそのギャップに苦しむこととなった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
生徒のスマホ使用を注意しても……(写真提供/イメージマート)
《教員の性犯罪事件続発》過去に教員による盗撮事件あった高校で「教員への態度が明らかに変わった」 スマホ使用の注意に生徒から「先生、盗撮しないで」
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《ロマンス詐欺だけじゃない》減らない“セレブ詐欺”、ターゲットは独り身の年配男性 セレブ女性と会って“いい思い”をして5万円もらえるが…性的欲求を利用した驚くべき手口 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン