1980年代、小学生だった私から見ても『サザエさん』は古臭いアニメだった。何しろほとんどの家はプッシュホンだったし、子供達も自分だけの部屋を持つようになっていた。夕方6時頃に家族全員でご飯を食べているのは不可解だったし、塾に行かないカツオは危機感がないと指摘する同級生もいた。
そして、現在も同様だが、登場人物があまりにも老けすぎているのである。長谷川町子の原作は1946年開始のため仕方ないが、アニメではサザエ(24)、波平(54)、フネ(50ン歳)、マスオ(28)である。そして最も驚かれるのが穴子さんの「27歳」。これも踏まえると「時代劇」というネットの指摘は正しい。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。近刊に『恥ずかしい人たち』(新潮新書)。
※週刊ポスト2021年3月12日号