妊娠がわかったときは「100%うれしかった」(和さん)。

妊娠を喜ぶ和さんと将一さん(2020年1月)

「将一さんは、困難な状況を理解していたと思います。そのうえで結婚し、子供をもつという決断をしたのは、本当にすごい。若いのによく和さんをサポートしたと思います。うちは子供がいなかったけれど、いまの将一さんにとって、娘さんがそばにいることは本当に大きいのではないでしょうか。娘さんは和さんのDNAを受け継ぐかけがえのない存在ですから、どれだけの救いになっているかは想像にかたくない」

 和さんは「治すための治療を続けたい」と、最後まで闘病を諦めず、抗がん剤治療を続けた。垣添さんは「日記の文章はあっけらかんとしているところもあるが、実際は、相当つらかったのではないか」と慮る。

「抗がん剤治療は、人によっては想像を絶するつらさがありますからね。口内炎、倦怠感、手足のしびれ、吐き気などあらゆる症状があらわれる。和さんには、抗がん剤治療の苦しみ、それから、病気自体の苦しみ、自分が子供を残していなくなるかもしれないという三重の苦しみがあったと思います。それでも笑顔で頑張れたのは、将一さんと娘さんという、生きる希望があったからではないでしょうか」

◆垣添忠生(かきぞえ・ただお)
1941年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。同大学医学部泌尿器科文部教官助手をつとめながら、がんの基礎研究に携わる。1975年、国立がんセンター勤務。病院手術部長、病院長、中央病院長などを経て、2002年、国立がんセンター総長、2007年、同センター名誉総長となる。日本対がん協会会長。

外出も

娘と桜並木を散歩(2021年4月)

和さん

お誕生日プレゼントのピアノを弾く娘

ステージIVで出産するに至るまで

結婚当時の遠藤和さんと将一さん(2019年12月)

「娘は喃語を話すようになったくらいです。早く会話がしたいな」(和さん)(写真/本人提供)

間もなく1才の頃。喃語を話すようになったという

手術前、最後に娘と抱き合う和さん(写真/本人提供)

手術前、娘と抱き合う和さん

家族で同じ色の服

家族で同じ色の服

「離乳食は好き嫌いなく食べてくれます」(和さん)(写真/本人提供)

離乳食を与える和さん

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