ライフ

キックボクサーの壮絶減量術 素人には危険な1日限定の「水抜き」

プロキックボクサーの大滝裕太さん

プロキックボクサーの大滝裕太さん。減量前の姿(撮影/YOU ishii)

 コロナ禍が落ち着くまではと、外出の予定を先延ばししている人もいることだろう。しかし、すっかり油断して出来上がった「巣ごもりボディー」に焦りを感じている人もまた、少なくないはずだ。特に、結婚式や同窓会など特別な予定がある人は、「せめてその日だけでもやせたい」と願っているかもしれない。

 そんな都合のいいダイエットが──実はある。短期間で肉体改造をするボクサーから、極意を学べばいいのだ。

 ボクサーといえば、アスリートの中でもひときわ過酷な減量を行うイメージがある。彼らは、なぜ体重を落とす必要があるのか。プロボクサーの資格を持つ産婦人科医の高橋怜奈さんが解説する。

「ボクシングは体重によって細かく階級が分かれている競技です。体格が大きいほど試合で有利になるため、選手たちは通常の体重より軽めの階級で契約し、試合前日の計量日までに、その階級の体重まで減量します。そして、翌日の試合までに本来の体重に一気に近づけて試合に臨むのです」

 高橋さんも、試合前は2か月で10kg近く減量したこともあるという。プロキックボクサーの大滝裕太さんも、試合の6週間前から本格的な減量を始める。これまで1か月で13kgほど落としたことがあると話す。

「ぼくはフェザー級なので、普段の70kgから計量日は57~58kgまで減量し、試合時は65kgくらいまで戻します。選手にとっては、体重をコントロールする作業もプロの技術の1つなのです」

「水抜き」は1日限定で

 短期間に一気に体重を落とすために、具体的にどのような減量を行うのだろうか。

「試合の予定がないときは好きなものを食べているので、最初の1週間はお菓子や揚げ物などをやめるだけでも、3~4kgは体重を落とせます。そこからは食べるものを厳選し、ご飯などの炭水化物も減らし、高たんぱく、低脂質、低糖質メニューに切り替えます」(大滝さん・以下同)

 食事制限と並行して、試合が近づくとともにトレーニングの強度も上がるので、4週間でさらに4~5kg落ちるという。計量3日前になると、ラストスパートで「水抜き」をして残りの4kgを落とす。

「約1週間前から水を1日6リットルほど飲み、水抜きの準備を始めます。そして3日前になったら塩分の摂取をカットして水もほぼ飲まない。汗をかいて体内の水分を出すために、サウナスーツを着て縄跳びなどをします。縄跳びは有酸素運動ではありますが、体に負荷をあまりかけることなく汗を流せるので、おすすめです」

 大量の水を飲むのに「水抜き」できるのはなぜか。そしてなぜ、その方法で一気に体重が落ちるのか。高橋さんが解説する。

「事前に大量に水分を摂取するのは『ウオーターローディング』といって、体に充分な水分が満ちている状態を作ることで、通常よりも水分を排出しやすくしています。単純に水分の摂取を控えるだけではアルドステロンなどの抗利尿ホルモンが分泌され、体が水分の排出を抑えてしまう。大量に水を飲んでおくことで、抗利尿ホルモンが低下し、水分排出能力が高まるのです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
“進次郎劇場”で自民党への逆風は止まったか
《進次郎劇場で支持率反転》自民党内に高まる「衆参ダブル選挙をやれば勝てる」の声 自民党の参院選情勢調査では与党で61議席、過半数を12議席上回る予測
週刊ポスト
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト