減量後の雄姿(大滝さん提供)
塩分だけでなく糖質にも水を体内に留める作用があるため、水抜き中は塩辛いもの、甘いものはご法度。計量の目標体重まで余裕がない場合、塩分、糖質は口にしない。
「血液の浸透圧を一定に保つために、塩分には血液中の水分量を増やす働きがあります。塩分を控えることで水分の貯留が減るので、自然と体から水分が抜けていきます。糖質も1gあたり4gほど水を抱え込みます。塩辛いものや甘いものを食べるとむくむのはそのためです」(高橋さん)
思わずマネをしたくなるが、実はこのとき、体は「脱水状態」になっていることがほとんど。素人がまねると命に危険が及びかねない。
「プロの選手でもしゃべれなくなるほどフラフラになり、付き添いがいないとひとりで歩くことも難しい状態です。なかには、救急車で運ばれたり、計量はクリアしたのにドクターストップで試合に出られない選手もいます」(大滝さん)
もし、ボクサーでない私たちがダイエットに水抜きを取り入れるなら、“勝負の日の前日だけ”にすることだと高橋さんは言う。
「前日は完全に水を抜くのではなく、1リットルは飲むこと。塩分と糖質を控え、サウナスーツを着てウオーキングすれば、むくみが取れて輪郭がすっきりします。ただし、肌や唇がガサガサに乾燥する可能性もあります。決して『ベストコンディション』になるとは限らないことは知っておいて」
のどが渇いたと感じないよう、少量ずつこまめに水分補給することが大切だ。
壮絶な減量を成功に導けるか否かは、「筋肉」にかかっている。大滝さんが言う。
「筋肉は水分を含んでいるので、筋肉量が多い選手ほど水抜きも効果が出やすい。脂肪があると水分をため込んで抜けにくくなるので、体脂肪率は低く、筋肉量は高めにキープしなければいけません」
筋肉の維持には、「高たんぱく、低脂質」の食事が基本。減量中のボクサーの食事は、鶏胸肉、ささみ、まぐろ、卵など、質のいいたんぱく質が中心となる。
「牛肉は脂が多いので基本的に食べません。計量まで10日を切ったら、夜は炭水化物を一切食べず、野菜とたんぱく質のみにすることもあります」(大滝さん)
糖質制限ダイエットのブームにより、一般的にも炭水化物を食べない人は増えた。しかし、アスリートほど筋肉量のない普通の人が極端に糖質を減らすと、逆効果になる可能性がある。
「ある程度、糖質を摂らなければ筋肉がつかず、メリハリのある美しいボディーになりません。
また、筋肉量が減ると代謝が落ちて、かえって太りやすい体質になってしまうのです」(高橋さん)
高橋さんは、ご飯をオートミールに変えて、減量中も毎日食べるという。血糖値の上昇がゆるやかなため脂肪になりにくく、食物繊維が豊富なので、お通じにもいい。
【プロフィール】
大滝裕太/プロキックボクサー。K-1出場、恋愛バラエティー番組『あいのり』(フジテレビ系)出演、どら焼き職人など、多彩な顔を持つ。東京・中野でキックボクシングのレッスンも主宰している。
※女性セブン2021年3月11日号
医師の高橋さんは、世界初の女性ボクサーとしてリングに立つ(高橋さん提供)
大滝さんのレッスンの様子。老若男女問わず未経験者でもすぐに参加できる
レッスンに通う生徒からは「体づくりへの意識が高くなった」「性格が明るくなった」「性格が明るくなった」という声も



