日本ワクチン学会理事で長崎大学病院小児科医師の森内浩幸教授が解説する。
「接種後に起こる痛みや腫れ、赤みなどの炎症反応は1日か2日で消えるものです。抗体を作るための免疫反応の準備段階を示すものなので、私は『効いてくれそうだ』とポジティブに受け取っています」
重度のアレルギー反応「アナフィラキシー」の症例も報告されている。前述のCDC報告では、ファイザー製ワクチンで「100万人あたり5人」の頻度でアナフィラキシーが確認された。英医薬品・医療製品規制庁のレポート(2月28日)では、ファイザー製のワクチンを接種した1150万人のうち、アナフィラキシーは214例(100万人あたり18.6人)。
医療従事者への先行接種が始まった日本では、接種した約18万人のうち、37例(3月11日まで)のアナフィラキシーが報告された。内訳は男性が1人で36人が女性(後に1例取り消し)。年代は主に20~50代。この段階では「100万人あたり206人」となる計算で、米国の約40倍だ。なお、アナフィラキシー発症者のうち約30人にぜんそくなどの持病、食物・医薬品アレルギーなどがあったと明らかにされている。
アナフィラキシーの報告を受け、河野太郎ワクチン担当相は「欧米に比べ数が多いように思う」と述べた(3月10日の国会答弁)。
日本は欧米に比べて感染者・死者数ともに少なく、感染者は男性が多いとされる。ワクチンの副反応に関しては逆の結果が出ているように見える。
インフルワクチンでも「女性が7倍」
「アナフィラキシー」とはどんな症状を指すのか。奥野良信・大阪健康安全基盤研究所理事長(日本ワクチン学会理事)が解説する。
「短時間のうちに皮膚や呼吸器、消化器など複数の臓器に同時かつ急激に症状が現われるアレルギー反応を指します」
コロナワクチンでアナフィラキシーが起こる理由について、森内医師はこう語る。
「ファイザーやモデルナのワクチンに含まれる『ポリエチレングリコール』という成分が原因の一つではないかとされています。これは化粧品やシャンプー、ハンドクリームなどのほか、医薬品にも広く使われていることから、過去に免疫が異物と記憶していた可能性がある」