副反応の報告例に女性が多い傾向は海外でも見られる。米CDCの調査でもアナフィラキシー71例中68例が女性だったほか、1月にスイスの医薬品承認機関「スイスメディック」が発表した副反応に関するレポートでも女性が約1.8倍だった。
「ポリエチレングリコールは化粧品やハンドクリームなど女性のほうが接触する機会が多いことも影響しているかもしれません。看護師や病院事務など日本の医療従事者に女性が多いことも、少なからず関係していると思います」(奥野医師)
新型コロナ以外のワクチンでも同様の報告があった。森内医師が語る。
「2009年のインフルエンザワクチンによるアナフィラキシー症例の男女比を示した研究によると、特に20~50代では女性の比率が高く、20代では男性の7.2倍でした」
CDC調査で副反応が出た人の年齢の中央値は30代後半となっている。
「若者のほうが免疫が活発に働くため、副反応が起きやすいと言われています。インフルエンザワクチンでも高齢者は抗体がつくられにくいので、米国では若い人の4倍の量を接種することがあります」(奥野医師)
米国では2月7日までに1170人が接種後に死亡、ノルウェーでは3月4日に接種後3週間以内に死亡した例が111件あったことを発表したが、両国ともワクチン接種との因果関係を否定している。日本では60代女性が接種3日後にくも膜下出血により死亡した。
「接種後に亡くなる人は基礎疾患のある高齢者が多く直接の因果関係はないと考えられます。ノルウェーの死亡例も大半が80代以上ですし、日本の例も免疫反応でくも膜下出血が起きるとは考えにくい」(奥野医師)
※週刊ポスト2021年4月2日号