大阪桐蔭らしさとは
第2の誤算は、松浦に代わって5回からマウンドに上がった関戸康介の乱調だろう。6回表に2対4と2点差に迫った直後、仲間のミスも重なって関戸は2点を奪われ、さらにこの日4つめの暴投(ワイルドピッチ)で3点目を献上してしまう。
開幕の2週前、京都外大西との練習試合を訪れると、MAX154キロながら、コントロールの安定しない関戸について、西谷監督は「彼の場合どうしても出力が高いので、ボールが暴れてしまう。ただ、それはそれで関戸の一つの持ち味」と話していた。が、この日は完全にそれが裏目に出た。
「極端に荒れるボールがあって、それを修正できなかった。確かに荒れるボールも彼の武器ではあるんですが、荒れないに越したことはないわけです。荒れる場合はそれを利用しようと、捕手も頑張ってくれていたんですが、できませんでした」
智弁学園は、昨秋の近畿大会決勝で敗れている相手であり、大阪桐蔭のナインは雪辱を果たす好機に燃えに燃えていた。それが空回りしてしまった印象もある。その時も先発した智弁の西村王雅のボールに打線は沈黙し、5回までヒットは内野安打の1本だった。第3の誤算、それは序盤から中盤にかけて打線につながりを欠き、スコアボードに0を並べてしまったことだ。
「(智弁の西村は)良いピッチャーであることは間違いないんですが、初回に点が入ったことで、変化球をたくさん投げたり、気持ちに余裕を持って投げられてしまったと思います。やはり、1度負けている相手とあって、他の学校よりも“負けたくない”という気持ちが強くなってしまった。こちらがプレッシャーをかけられなかった」
収穫だったのは試合終盤に得点を重ね、2点差にまで迫ったこと。
「7、8、9回に強いチームになろうと言ってきた。しかし、すべてがまだまだ足らないなという感じです」