長年のヤクザ取材の経験から語りつくした溝口氏

長年、ヤクザ社会を取材する溝口氏

 ヤクザの明確な組織犯罪は抗争です。直接利益を生み出さず、命さえ失いかねないマイナスのイベントですが、格闘技のファイト・マネーのごとく、その際のパフォーマンスによって格付けされます。よく戦えばファイト・マネーも上がるし、弱ければ堅気になるしかありません。山口組が日本最大の暴力団になったのは、過去、山口組がもっともたくさん殺し合ったからです。殺し殺された命の蓄積が、暴力団の時価総額なのです。

 ヤクザを象徴する商売道具は、ドスとチャカでしょう。これ以上殺傷能力の高い武器は、刑が重くなるため、原則、使えません。手榴弾は7~8万円程度で安く入手でき殺傷力も高いのですが、巻き添え被害が予想され、死刑になる可能性が高いので無用の長物です。ヤクザは建前上、疑似血縁制度を使い、親と子の関係を模倣しているので、「殺してこい」と命令できても、「死んでこい」「死刑になってこい」とは言えないのです。福岡県で手榴弾を見つけて届けると報奨金がもらえるようになったのは、抗争で使えず、燃えないゴミにも出せないので、困り果てたヤクザが捨てるのでしょう。

 ドスは正式な日本刀とは違い、鍔がないので斬り合いには向かず、裏社会の代名詞たる業物でした。刀剣に遠く及ばず、言ってみれば大きな包丁です。ヤクザに剣術の心得はいらず、不意をついて刺す程度の切れ味があれば事足ります。一番の目的は相手を脅すためで、脅すが転じてドスの名前となりました。

 現在、ヤクザが“道具”という隠語を使えば拳銃を意味します。ドスにとって代わったのはより脅しが利くからであり、確実に殺せるからです。道具を使って行う“仕事”は、当然、人間の殺傷以外にありません。人殺しは確かに、職業とは呼べません。

群れるのは弱者の智恵

 ヤクザ自身は組織を家族、または互助団体に似た存在、組合のようなものと説明します。最初はそうであったのですが、このご時世でぬけぬけとそういう現役は、都合良く配下を洗脳したいだけです。組員と呼ばれる構成員は確かに社員ではありません。それぞれが個人事業主で、各々表看板となる商売を持った人間たちが、任侠道の実践のために寄り集まったというわけです。

 この説明の通りなら、やはり、なるほど職業ではありません。実際、力道山を抱き込み、プロレス興行に食い込んだ東声会という暴力団は、その後、名称変更して『東亜事業組合』(現東亜会。非指定団体)を名乗りました。ヤクザの理念を込めたのでしょう。

 弱いから組織を作ったともいえます。群れるのは弱者の智恵です。イワシのような小魚も大群を形成します。今となってはなかなか理解されませんが、ヤクザは社会的弱者が寄り集まった集団なのです。いわれなき差別に苦しめられた被差別部落出身者や在日朝鮮・韓国人が多かったのはまさにそのためで、差別と貧困が両親です。

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