誰もがコロナ疲れで精神的・身体的に消耗している。感染防止対策でこれまでの自由は奪われ、行動は制限されるばかりだ。終わりが見えないため、いつまで、どこまで我慢すればいいのかもわからない。ストレスを発散することも難しく溜まる一方だ。「設けられたルールに従わないといけない」と思う反面、自分の意思で思うように動けないため、イライラし反発を感じる「リアクタンス」という心理的傾向が生じてくる。
いくらリアクタンスが生じたからといって、次々と不祥事が暴露される今の時世、23人も銀座で深夜まで飲み会をやっていればどこかで誰かが見ているはずで、バレないわけがない。だが、主催したという課長は「やっても良いのでは」と思い、職員たちは参加した。法やルールを自分たちの都合の良いように解釈し正当化する「合法バイアス」が働いているのかとも思ったが、ここまで露骨では都合良く取り繕うことすらできず、モラルを疑われても仕方がない。
やはり、心のどこかに厚労省職員という立場からくる「特権意識」があったのだろうか。特権意識とは心理学的に言えば、自分が他者より多くを得るに値し、多くを得る権利を持っているという感覚のことで、他人からの評価や人の目を気にかけなくなりやすいという。仲間内で人数が集まれば外の声は聞こえなくなり、罪の意識も薄くなるだろう。
書いていて昭和の時代の流行語となったビートたけしのブラックな名文句を思い出した。「赤信号みんなで渡れば怖くない」。