スポーツ

グランアレグリアの大阪杯 藤沢和雄調教師が20年来抱いてきた思い

グランアレグリア

国内最強の称号を得られるか(グランアレグリア)

 名馬の激突はGIの醍醐味である。古馬中距離王を決める戦いは見どころたっぷりだ。競馬ライターの東田和美氏が分析した。

 * * *
 GⅠ4勝馬2頭の対決。ここは「穴狙い」とか「一角崩し」などと考えず、素直に無敗のクラシック三冠馬と、アーモンドアイ完封も含む短距離GⅠ4勝馬のレースぶりを味わいたい。それぞれの適距離ではなかったとはいえ、3000mと1200mのGⅠを勝った馬が同じレースで走るのは、路線が多様化した近年では、しばらく見られなかった。興味はそこに尽きる。

 テリトリーの異なる有力馬同士の対決といえば春のグランプリ宝塚記念。2200mという距離のため、前走天皇賞(春)と安田記念の上位馬が出走、距離延長組と距離短縮組の力関係が馬券検討の焦点だった。天皇賞(春)からの参戦が計14勝、安田記念からは4勝と短縮組が圧倒していた。1着馬同士が対戦したのは、平成以降3回あって、うち2回は天皇賞(春)の勝者が勝っている(余談だが平成初期、1992年と1993年の2着馬はともに天皇賞と安田記念を両方使っての参戦だった)。 しかし2007年にメイショウサムソンとダイワメジャーが顔を揃えて以降、こういうGⅠ馬同士の対決は見られなくなった。

 菊花賞を勝ったとはいえコントレイルは2000mのGⅠを2勝、一方のグランアレグリアもスプリンターズSの他は、マイルGⅠを3勝しているので、実は適距離にそれほど差はないようにも思える。

 しかし1200mがGⅠになって以来、その勝者が2000m以上のGⅠを勝ったことは一度もない。バンブーメモリーが1990年に当時2000mのGⅡだった高松宮杯に勝ち、半年後のスプリンターズSに勝っただけ。1980年代に1200mで4戦4勝、1400mでも6戦5勝というニホンピロウイナーが現在のマイルGⅠを3勝、シンボリルドルフがギャロップダイナに敗れた1985年秋の天皇賞で、差のない3着に来たのが語り継がれているほどだ。

 GⅠスプリンターで2歳時に1800mの重賞を勝っていた馬は何頭かいる。スプリント路線を勝った馬の2冠はマイルまでだった。ナリタブライアンは引退レースが高松宮杯で4着に敗れているが、当時は出走すること自体、けっこう物議を醸したものだ。

 GⅠ馬の距離延長といえば1200mのGⅠを3勝していたロードカナロアが2013年に安田記念を、マイルGⅠを4勝していたモーリスが2016年の天皇賞(秋)を勝っている。ロードカナロアも距離経験は1600mまでだし、モーリスもそれ以上の距離に進むことはなかったが、両馬が種牡馬として多くの活躍馬を送り出しているのは、適距離の幅があるため優秀な繁殖牝馬に恵まれている、ということが大きい。ついでにロードカナロアはサンデーサイレンスの血を持たないし、モーリスにとっても曾祖母になるので、選択肢が広がった。

 さて、グランアレグリアという馬は大事に大事に育てられてきた。

 新馬・重賞と勝ちながら、阪神ジュベナイルフィリーズまでは「1週間足りない」と牡馬相手の朝日杯フューチュリティステークスに出走。翌年ぶっつけで桜花賞を勝ちながら、「平常心で走ることができるか」という不安から、オークスへは向かわずNHKマイルカップに。秋はスプリンターズステークスから始動の予定も、歩様の悪化から2週前に回避。翌月にはマイルチャンピオンシップ回避も決断して暮れの阪神カップを目標に。

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン