阪神カップは2着に5馬身差をつけて圧勝。3か月後、初めての1200mではじっくりタメをつくり33.1秒の上がりで繰り上がりの2着。その後4月半ばに熱発してヴィクトリアマイルを回避しながら、安田記念ではアーモンドアイを破って優勝。昨秋はスプリンターズS、マイルチャンピオンシップを連勝、今年になって間もなく大阪杯への参戦を公言している(参考:サンデーサラブレッドHP)。クラブの規定で現役は今年1年限りだ。
昨年、芝の古馬平地GⅠでは3200mの天皇賞(春)以外、スプリント戦からJC、春秋のグランプリまですべて牝馬が勝った。三冠馬コントレイルとしてみれば“女性上位”の流れをあっさり断ち切って古馬戦線で主役の座につきたいところだろう。
1997年のスプリンターズSを勝ったタイキシャトルについて「2000mの天皇賞に出られたら、勝っていたと思う」と、かつて語ってくれたのは、グランアレグリアの藤沢和雄調教師である。1999年までは、天皇賞に外国産馬は出られなかった。持って生まれたスピードがあれば、短い距離を使ってきた馬でも2000mを勝てる──通算1500勝を超える日本最高の調教師が、20年以上前に抱いた思いをこの馬で実現させる。彼にとっては「最後の大阪杯」だ。
●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。