2001年、千葉県市川市・行徳駅周辺では放置自転車に悩まされていた(イメージ、時事通信フォト)

2001年、千葉県市川市・行徳駅周辺では放置自転車に悩まされていた(イメージ、時事通信フォト)

 そう、例えば役所の窓口、カウンターの外で対応している職員、その多くも非正規の契約や派遣だ。苦情や文句は彼らに任せる。「最近は役所も対応がよくなった」なんて聞くがその対応のいい若者は時給で働く非正規だったりする。職安もしかり、窓口担当の多くは非正規雇用。元非正規が非正規に相談するというコントのような話がまかり通っている。

「みんな機嫌悪いし、偉そうになんかできないよ。そんな奴はすぐ辞める」

マナー悪いのは、ごく普通の人

 長引くコロナ禍、一部の心ない国民は弱い者、逆らえない者、何を言っても構わないと勝手に決めつけた対象で憂さ晴らしをしている。それはネットもリアルも違いはない。ライブハウス、パチンコ、夜の街、飲食店 ―― 忘れっぽく飽きっぽい輩はそれまでの攻撃など忘れて次のターゲットを探している。2020年、そんな憂さ晴らしの被害者の多くがエッセンシャルワーカーだった。その中でもとくに嫌われるという監視員、しかし田中さんだってあくまで仕事、生活のために責務を果たしているだけなのに。

「嫌なら他の仕事しろって言われてもね、70歳過ぎて仕事なんて、あるだけマシだ」

 昨年の拙筆『炎天下にマスク姿で道路に立つ70代の2号警備員が抱える不安』『「一生働くとは思ってなかった」と70代のUber配達員は言った』でも言及したが、定年して悠々自適なんて今は昔、高齢就業者数は2004年以降15年連続で増加、2018年には862万人(!)となっている。よく「団塊世代は逃げ切り組」と言うが、実のところ団塊世代(1947年~1949年生まれ)も逃げ切れたとは言えず、完全な逃げ切りと言えるのは焼け跡世代(1935年~1946年生まれ)から上だろう。それほどまでに、21世紀の日本は衰退、疲弊と高齢化のスピードが早いということだ。

「清掃だって婆さんのほうがいいもんね。爺さんなんて警備くらいしか仕事ないよ、それも健康なら、だね」

 高齢男性の仕事は本当に限られるが、それでも働かざるを得ない。たとえコロナ禍であっても ―― なぜなら日本の国民年金の支給額はあまりに低い。40年間欠かさず払っても月6万5100円。現代日本、単身者がこれだけで食べていくのはまず不可能だろう。サラリーマンだから安心と思うなかれ、厚生年金であっても平均受給額は月14万5000円、食べていけないことはないが相当な清貧を強いられるだろう。ましてこの額が将来、団塊ジュニアから下が貰える保証はまったくない。もっと低いかもしれない。

「コロナに罹ったらと思うと怖いけど働くしかないからね。いまは世間も落ち着いてるけど、去年はもっと怖かった。それでも放置自転車とか違法駐輪に(警告の)テープ巻いて歩くんだ。会ったら注意してね、コロナなのに話しかけんなとか言われるけど、仕事だからね」

 そんな文句を言う不届き者、いったいどんな連中なのか。

「普通の人だよ、でも若い人は意外といない。ふてくされたりはするけど言うこときいてくれるね、ウーバーとかの人もちゃんとしてる。多いのはサラリーマン、やっぱり働き盛りの40代とか50代かね。あと恥ずかしい話、私と同世代も多いね、老人同士で喧嘩になるなんて、ほんと恥ずかしい話だけど、マナー悪いね」

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