国内

話題の「オール5」中学校の改革校長が「ずるい」批判に反論

名門校ゆえに注目度も高い

名門校ゆえに注目度も高い

 教育改革で名を馳せた都内の有名中学校が「内申点騒動」に揺れている。千代田区立麹町中学校は、公立でありながら、都心のど真ん中にあるために古くからエリート層の子弟が通うことで知られ、かつては「番町(小学校)、麹町(中学校)、日比谷(高校)、東大」という「最高のエリート路線」を象徴する言葉もあった。

 その「古豪」が再び注目を集めることになったのは、2014年に赴任した工藤勇一・校長が断行した改革だった。工藤氏は、宿題の全廃、担任制の廃止、定期テストをやめて「単元テスト」にするなど大胆な仕組みを次々と打ち出したが、なかでも物議を醸したのが徹底した絶対評価の導入だった。各教科でひとつの単元が終わるごとに課させる単元テストで決められた基準をクリアした生徒には、校内の順位には関係なく評定を与えたのである。しかも、結果に納得できない生徒は何度でも再テストを受けることが許され、そこで基準に達すればそれに応じた評定となる。極端に言えば、学年全員が90点を取れば、全員に「5」が付き、全員20点未満なら全員「1」となる。

 生徒の自主性を重んじ、結果を出せば順位や偏差値には関係なく高い評定を得られる制度は、多くの生徒や保護者に歓迎されたが、一方では同校の内申点(通知表の評定の合計)が高くなる傾向を生み、受験で有利になるのではないかと他校から不満が出ることにもなった。実際、粘り強く再テストに挑戦し続ける生徒が「オール5」を取るケースもあったとされる。そして、その内申点を期待して家族で転入して入学する生徒もおり、改革の成果と副作用が次第に明らかになった。

 その工藤校長は昨年3月で退任し、後任には工藤氏と旧知の元新宿区教育委員会職員の長田和義氏が就いた。すると今度は、保護者から「校長が変わったら子供の成績が下がった。授業態度が悪いからと『1』ばかり付けられた」といった怒りと抗議の声があがったのである。『週刊ポスト』(4月5日発売号)では、保護者らの声、さらに工藤、長田の新旧校長への直撃で騒動の顛末を報じているが、批判を受ける長田氏は、評価方法は基本的に変えていないと反論し、工藤氏も長田氏への信頼は揺らいでいないと語っている。

 騒動については本誌に譲るが、改革の立役者だった工藤前校長に、改めて絶対評価システムの是非について聞いた。他校からやっかみが出ている「麹町だけ内申点が高い」との批判には、真っ向反論した。

「麹町中の生徒たちが3年生になると成績が良くなるのは、単純に勉強するからです。定期テストも宿題もないのに成績が上がる仕組みが、まさに単元テストと再テストです。ざっくり言うと、20点未満は1、50点未満なら2、80点未満は3、90点未満は4、90点以上は5とあらかじめ決まっていて、それはオープンになっているから生徒たちも知っています。例えば数学のある単元のテストで75点取った生徒の成績は3です。それで納得する生徒もいるでしょうし、納得できなければ再テストを受けさせてくださいと宣言することもできます。その場合は1回目の成績は破棄されるので、もちろん成績が下がるリスクもあるわけです。当然、生徒たちは成績を落としたくないから、再テストでは1回目に取れなかった25点分の弱点をよく勉強し直してくるんです。生徒同士で相談し合ったり、質問し合ったり、先生に聞きに来る回数もどんどん増えて、3年生くらいになると学び方を覚えて成績が伸びるのです」

関連記事

トピックス

(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン