宮城でも「変異ウイルス」が猛威を振るう(時事通信フォト)
感染対策をとっているとはいえ、学校では集団行動をする機会が多いうえ、いくら「気をつけて」と言っても子供は体を接触しやすく、夢中になってついマスクを外してしまうこともある。
「子供の活動範囲は狭いですが、生活様式が他者と密です。学校で生徒の一部が感染すれば、一気に広がります。インフルエンザ同様、学校で感染が広がり、各家庭で親が感染して、親がウイルスをさらに外に広げるという悪循環が起こりやすいのです」(新潟大学名誉教授の岡田正彦さん)
3万人の死者を出したイタリアの二の舞に
子供への感染のしやすさは地方での感染拡大につながるとも指摘される。兵庫県知事も会見で、「以前(従来型)と違って10代やそれ以下の子供たちにもうつる。これが家庭での感染者数を増やしている」と述べている。
「東京など大都市では核家族化が進んでいますが、地方では3世代が同居するなど、高齢者と一緒に生活する家族が多い。子供への感染リスクの高さは、高齢者への感染リスクを高めることにもつながります。また、地方は医療が脆弱な地域もあり、あっという間に感染が広がると、医療逼迫につながる可能性があります」(一石さん)
昨春の第1波で3万人近い死者を出したイタリアでは、70才以上の高齢者が感染者全体の約4割、死者の9割を占めた。それは高齢化率の高さだけでなく、イタリアではリタイア世代と現役世代と子供たちが3世代で一緒に暮らす、大所帯が多いことも理由として挙げられた。
「大阪や兵庫とともに『まん延防止等重点措置』の対象地域となった宮城では、まだ英国型は少数です。しかし今後、感染力が強い英国型が県内で拡散することによって、震源地となる恐れは充分にあります」(一石さん)
東京から感染が広がったとされる従来型と違い、第4波は地方の大都市である大阪、神戸、仙台などから一気に広がる可能性が高いのだ。
「いまは新年度、新学期を迎えたばかりで、地方と都心部の往来も激しいです。このままでは第3波以上に大きな波がくることは確実です。ワクチンに期待する声もありますが、順調に接種が進んだとしても効果が出るのは半年近く先のことです。第4波を止める効果はワクチンにはありません」(二木さん)
第4波は子供から、そして地方から──変異ウイルスは確実に迫ってきている。
※女性セブン2021年4月22日号
東京を上回る感染者が出ている大阪(時事通信フォト)