「コロナ騒動」の虚実を語った(撮影:太田真三)

「コロナ騒動」の虚実について語った(撮影:太田真三)

宮沢:昔、私、犬のパルボウイルス(犬が感染すると激しい嘔吐や下痢を引き起こす)の研究をやっていたんですが、1978年ごろに急にイギリスで犬に強毒のパルボウイルスが出てきて、犬がばったばった死によったんですよ。ところが、1981年に弱毒タイプが見つかったんですね。そうしたら、あっという間に世界中、弱毒タイプに変わって、犬が死ぬ強毒タイプがこの世から忽然と消えたんですよ。

 そのときに、パルボウイルスの研究をしていたアメリカのコリン・パリッシュというプロフェッサーが、これはおかしいと。犬は飛行機に乗らないのに、何で世界中のウイルスがこんな同じ弱毒型になったんだって騒いでいた。

 それで私らが1998年に、ベトナムや台湾の犬を調べたんですよ。そうしたら、何てことはない、世界同時多発で同じ変異が起こっていた。その変異型が広がりやすいのなら、世界中で同じ変異型が広がるんですよ。

小林:しょっちゅう変異が起きているから、そうなるんだと。

宮沢:そうです。いろんな変異がランダムに起きるんですが、感染を広げるのに有利な変異だったら、それが広がっていく。ここが有利だという変異があるわけですよ。そこに変異が入るのは時間の問題で、確率論です。ちょっとは時間差があるかもしれないが、イギリスに限らず、世界中どこでも同じ。世界同時多発。

小林:生き残るやつだけがどんどん増えて、生き残るやつはどこの国でも一緒。

宮沢:そう、そう。広がりやすいやつは恐らくは弱毒だから。今、日本人は、外国のやつがすごく怖いとか言うんですが、もし外国からのウイルスのほうが日本でも流行りやすいのなら、弱毒化している可能性高いから。もしすごい病原性が高かったら広がらないから大丈夫です。広がるとしたら病原性が低いやつだから、よりいいじゃないかと思うんですけど。

※小林よしのり、宮沢孝幸の共著『コロナ脳 日本人はデマに殺される』(小学館新書)より一部抜粋・再構成

【プロフィール】
小林よしのり(こばやし・よしのり)/1953年福岡県生まれ。漫画家。『東大一直線』でデビュー。『おぼっちゃまくん』でギャグ漫画に旋風を巻き起こす。92年スタートの「ゴーマニズム宣言」は新しい社会派漫画、思想漫画として話題に。近著に、『コロナ論』など。

宮沢孝幸(みやざわ・たかゆき)/1964年東京都生まれ。兵庫県西宮市出身。東京大学農学部獣医畜産医学科、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程獣医学専攻修了。獣医学博士。現在、京都大学ウイルス・再生医科学研究所 ウイルス共進化分野准教授。

関連記事

トピックス

被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン