(高倉)健さんと初めてお話ししたのは、クニさんからもらった電話でした。北海道でロケをしていたクニさんと健さんが、一緒にご飯を食べてたらしいのね。その時に健さんがクニさんに、「『北の国から』見てるけど、こごみちゃんというのは、すごくいい女優さんだね」とおっしゃってくれたみたいで、クニさんが喜んでその場から電話してきたんです。
「みゆきさあ、いま高倉健さんと一緒にいるんだけど、お前さんのことをすごい褒めてるんだよ。良かったなあ」
といきなり言うんです。それで、「ちょっと代わるか?」というクニさんの後ろで、「いや、いいですよ、いいです」と言う健さんの声が聞こえてくる(笑)。クニさんが無理に健さんを電話に出させると、健さんは「すいません。電話番号だけ教えてもらえますか」とていねいにおっしゃってくださって、思わず番号をお伝えしました。
クニさんは、私を喜ばせようとして、それから健さんも喜ばせようとして、電話してきたんですよね。そうして生まれたご縁だったけど、いま思い出してみても、いかにもクニさんらしいし、健さんらしかったなあと思います。
クニさんみたいな素敵な俳優は、もう二度と現れない気がするなあ……。人として、俳優として、唯一無二の人、役者でしたね。本当に淋しいです。