芸能

橋田壽賀子さん 生涯現役を支えた「衰えへの恐怖」と「好奇心」

aa

熱海の自宅で最期まで執筆を続けた。近所の住民によれば、木の伐採をするときも「すべて切らずに、気が死なないようにしてほしい」と頼むなど、自然を大切にしようととする姿が印象的だったという

 4月4日に静岡県熱海市の自宅で亡くなった脚本家の橋田壽賀子さん(享年95)は、「自分のことは自分で」の精神を最期まで貫いた。健康を保つために、83才からパーソナルジムに通い、1回1時間、週3回のトレーニングを行っていたという。また、90才を超えてからの雑誌への寄稿や著書の中で、「人に迷惑をかけず、痛くなく死にたい」と訴え、自身が認知症や寝たきりになった場合には安楽死を望んでいることを繰り返し語ったことも、大きな話題を呼んだ。

《親しい人の顔もわからず、生きがいもない状態で生きていたくはない。だからこそあえて提言したのです。“私がそうなったら、安らかに殺してください”と》

 橋田さんは自身の「安楽死願望」について2016年12月、本誌・女性セブンの取材にこう答えている。

 当時橋田さんと、安楽死について月刊誌で対談をした諏訪中央病院名誉院長の鎌田實さんが言う。

「認知症でまわりのことがわからない状態になってしまうことを大変に恐れていて、“そんなふうになるならば安楽死したい”とセンセーショナルなことをおっしゃった。医師としての立場から“どこからが認知症か”の線引きや本人の意思確認が困難であることなどの問題点を説明すると、すぐに現実的な選択ではないと理解しておられた。だからこそ、最期まで自分らしくいるための努力をなさったのだと思います」

「命の限り生きる」、そう判断した理由は、近しい人からの強い反発も1つの理由だったかもしれない。生涯にわたる“相棒”だったプロデューサーの石井ふく子さん(94才)は「言葉が出ない」と声を詰まらせながらこう明かす。

「彼女に『安楽死をしたい』と言われるたびに、『それならなぜ医者に通ったりストレッチやったりしてんのよ!? そんなこと言わないで!』と私が怒って、いつもけんかになりました」

 実際、橋田さんは2020年の雑誌のインタビューで、《生きているうちは生きるための努力が大切。私は毎年人間ドックを受け、お医者さまに通い、筋肉を作るために毎日お肉を200g食べる》とも語っている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン