記憶に新しい「傾斜マンション問題」
例えば、三井不動産レジデンシャルが14年ほど前に分譲した「パークシティLaLa横浜」の事例がみなさんの記憶に残っているかもしれない。
住み始めて何年も経ったある日、住棟の接合部で開放廊下の手すりが隣の棟とズレていたことに住民が気付く。調べてみると建物自体が僅かながら傾いていた。
そのことを元の売り主企業に訴えたが、最初は「地震(東日本大震災)のせいでしょう」などと、のらりくらりとした対応。しかし、専門知識を持った住人の一人がマンションの建築図面と近隣の地質図を照合。支持杭が支持基盤に達していない可能性に気づいた。
このエビデンスを突き付けられた売り主がボーリング調査を実施すると、確かに何本かの杭が支持基盤に届いていないことが判明。さらに調べていくと、杭工事を請け負っていた会社が工事記録を偽造していたことまで判明してしまった。
結局、このマンションは全棟が建て替えになった。建て替えが完成したのは2020年の年末。じつに問題発覚から5年以上が経過していた。