芸能

最期まで元気な姿だった橋田壽賀子さん「友達を作らない」理由とは

ピンピンコロリを目指していた橋田さん

在宅死を希望していた橋田さん(2014年11月)

『おしん』(NHK)や『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)といった名作ドラマの数々を世に送り出した脚本家の橋田壽賀子さんが4月4日、静岡県熱海市の自宅で亡くなった。95歳だった。夫を送った後はおひとりさまを貫いた橋田さん。90才を超えてからの雑誌への寄稿や著書の中で、「人に迷惑をかけず、痛くなく死にたい」とも語っており、週3回のペースでパーソナルトレーニングにも通っていた。まさに、しっかりした頭と体のまま、生きることを全うした。

 行きつけの店もあり長期にわたって親交を深めた仲間がいたにもかかわらず橋田さんは生前、何度も「友達はいないし、いらない」と語っていた。

《私はベタっとしたのが嫌なんですよね。友達がいないというのがすごくさわやか》
《私に生きていてほしいと思う人も、私がこの人のために生きたいという人もいません》

 しかし、よく一緒に行きつけのお店に顔を見せていたプロデューサーの石井ふく子さん(94才)は「私たちの関係は友達以上だった」と振り返る。

「最初に会ったのは、橋田さんが松竹を辞めた頃。話しているなかで『ホームドラマにこそ、サスペンスがある』って2人で息が合っちゃって。本来ならプロデューサーが脚本家を催促するのですが、橋田さんはとにかく筆が早くて、いつも『もう上がっているんだから早く原稿を取りに来てよ』とせかされました。言い合いもたくさんしたけれど、意見や感情をぶつけ合ってたくさんのいいドラマを作ることができた。あんな人は後にも先にもいません」(石井さん)

 橋田さんは生前「友達をつくらない」と語った理由をこう明かしていた。

「かつて『友達や家族など人間関係ができればそこに執着するし、期待してしまう。後から、もっとああすればよかったと後悔も生まれる。それが煩わしいから』とおっしゃっていました。だからピン子さんと一緒にクルーズ船旅行をしたときも、船室は別々。橋田さん流の“線引きの美学”があったから、ピン子さんが橋田さんの入れ歯を見たのはあんなに一緒にいたのに臨終のときが初めてだったそうです」(TBS関係者)

 シニア生活文化研究所代表の小谷みどりさんはこうした人間関係が今後ますます理想となってくると予測する。

「いま、ひとり暮らしの高齢者は増加の一途を辿っています。結婚していても子供がいなかったり、90代になれば子供に先立たれていることも少なくない。

 つまり、いま家族がいる、いないにかかわらず、最期はひとりになる人が爆発的に増えていくということ。だから元気なうちに“ちょっと話を聞いて”と言える人をたくさんつくっておいた方がいい。そういった人がつくれなければ、家族にしがみつくほかなくなってしまう。人生の最期にいい関係を築けるのは、必ずしも血縁とは限らないのです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン