4月クールの連続ドラマがスタートしているが、中でも異色の作品として注目を集めるのが『最高のオバハン 中島ハルコ』(東海テレビ・フジテレビ系)である。コラムニストのペリー荻野さんは「久々に出た!」とこのドラマを評する。そのポイントについて解説する。
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『最高のオバハン 中島ハルコ』は、ふたつの意味で「久々に出た!」とうなりたくなるドラマである。
ひとつは久々に出た!「名古屋ドラマ」。
中島ハルコ(大地真央)は、東京で人気美容クリニックを経営し、出身地の名古屋ではセレブや政財界からも一目置かれる有名人。たまたまハルコと知り合った38歳独身の編集兼フードライターのいづみ(松本まりか)は、彼女のゴージャスなライフスタイルや金銭感覚、人生哲学などに驚かされる。
まず、二人が出会った場所が名古屋の東山動物園。イメケンゴリラ・シャバーニの前で、不倫に悩んでしょんぼりしているいづみにハルコが喝を入れるのである。その後、愛知県では有名なクラシックホテルや七色にライトアップされた名古屋テレビ塔など、地元ロケシーンが続く。ハルコは東京のクリニックの秘密の小部屋(休憩室)でも「坂角の海老せんべい」や「生しるこサンド」など名古屋銘菓をポリポリと食べ続けるのである。
二話では名古屋名物の「ひつまぶし」と「ういろう」の老舗がともに跡取り問題で困っていると知るや解決に乗り出すハルコ。「驚いたでかんわ」などと名古屋弁をはさみつつ、ひつまぶしとカラフルなういろうを合体させた新商品(!)の開発を促す。
なんだかどっぷり名古屋、さすが東海テレビ制作という感じだが、このドラマを見て、過去の名古屋どっぷりドラマシリーズを思い出した方も多いかと思う。同じく東海テレビ制作で1989年から1998年まで続いた『名古屋嫁入り物語』シリーズである。