文在寅はもともと習近平べったりの姿勢が目立つ(EPA=時事)

文在寅はもともと習近平べったりの姿勢が目立つ(EPA=時事)

 さらにバイデン氏をイラつかせているのが、文氏のニューヨーク・タイムズとの単独会見だ。バイデン政権は北朝鮮政策について、「金正恩・総書記が具体的な提案を示さない限り直接対話には応じない」というスタンスで、トランプ前大統領のような「外交ショー」はしないというのが基本姿勢だが、そのトランプ氏をそそのかして「仲介役」を演じてきた文氏は、インタビューでこう言ってのけた。

「トランプ氏の対北朝鮮政策は、獲物の隠れている場所を直接叩くのではなく、その周辺の藪ばかり叩いていたから完全には成功しなかった。バイデン氏は今こそ金正恩氏と直接対話すべきだ。朝鮮半島の完全な非核化と平和定着のために現実的で不可逆的な進展を達成して歴史に名を残すことを願っている」

「不可逆的」(irreversible)とは、日本との慰安婦合意で朴槿恵・前大統領が使った表現。それをひっくり返したのは文氏だから、日韓合意にオバマ政権の副大統領として立ち会ったバイデン氏も心穏やかではないはずだ。

 今回のインタビュアーはニューヨーク・タイムズのソウル支局長であるチョイ・サン・フン氏。韓国外国語大学大学院卒で、AP通信時代に、朝鮮戦争当時の米兵による韓国住民虐殺事件の調査報道でピューリッツァー賞を受賞してニューヨーク・タイムズに引き抜かれたやり手だ。韓国人同士でもあり、文氏は気が緩んで米紙とのインタビューだという緊張感が抜けていたのかもしれないが、かつてソウル特派員だった白人のベテラン記者は、「上から目線でバイデン氏を諭すような文氏の口ぶりは鼻につく」とコメントしている。

 バイデン氏と初の対面首脳会談を実現した菅義偉・首相には夕食会も用意されず、「ハンバーガー・ランチ会談」だったことが物議をかもしたが、その菅氏に対抗心を燃やして実現にこぎ着けた米韓首脳会談では、「ハンバーガーどころかお茶も出そうにない雰囲気」(米主要紙国務省担当記者)だという。

■高濱賛(在米ジャーナリスト)

関連記事

トピックス

青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
卓球混合団体W杯決勝・中国-日本/張本智和(ABACA PRESS/時事通信フォト)
《日中関係悪化がスポーツにも波及》中国の会場で大ブーイングを受けた卓球の張本智和選手 中国人選手に一矢報いた“鬼気迫るプレー”はなぜ実現できたのか?臨床心理士がメンタルを分析
NEWSポストセブン
数年前から表舞台に姿を現わさないことが増えた習近平・国家主席(写真/AFLO)
執拗に日本への攻撃を繰り返す中国、裏にあるのは習近平・国家主席の“焦り”か 健康不安説が指摘されるなか囁かれる「台湾有事」前倒し説
週刊ポスト
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン
パーキンソン病であることを公表した美川憲一
《美川憲一が車イスから自ら降り立ち…》12月の復帰ステージは完売、「洞不全症候群」「パーキンソン病」で活動休止中も復帰コンサートに懸ける“特別な想い”【ファンは復帰を待望】 
NEWSポストセブン
「交際関係とコーチ契約を解消する」と発表した都玲華(Getty Images)
女子ゴルフ・都玲華、30歳差コーチとの“禁断愛”に両親は複雑な思いか “さくらパパ”横峯良郎氏は「痛いほどわかる」「娘がこんなことになったらと考えると…」
週刊ポスト
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
《自維連立のキーマンに重大疑惑》維新国対委員長の遠藤敬・首相補佐官に秘書給与800万円還流疑惑 元秘書の証言「振り込まれた給料の中から寄付する形だった」「いま考えるとどこかおかしい」
週刊ポスト
話題を呼んだ「金ピカ辰己」(時事通信フォト)
《オファーが来ない…楽天・辰己涼介の厳しいFA戦線》他球団が二の足を踏む「球場外の立ち振る舞い」「海外志向」 YouTuber妻は献身サポート
NEWSポストセブン
海外セレブも愛用するアスレジャースタイル(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
「誰もが持っているものだから恥ずかしいとか思いません」日本の学生にも普及する“カタチが丸わかり”なアスレジャー オフィスでは? マナー講師が注意喚起「職種やTPOに合わせて」
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「旧統一教会から返金され30歳から毎月13万円を受け取り」「SNSの『お金配ります』投稿に応募…」山上徹也被告の“経済状況のリアル”【安倍元首相・銃撃事件公判】
NEWSポストセブン