太田雄貴(右)とともに団体銀メダルを獲得した三宅選手(時事通信フォト)

太田雄貴(右)とともに団体銀メダルを獲得した三宅選手(時事通信フォト)

 二階氏と連携していると見られているのが小池百合子・東京都知事だ。小池氏は開催都市の知事という立場上、五輪の中止や延期を言い出すことはできない。二階発言についても、表向き「激励だと思っている」と語ったが、前のめりの菅首相とは違って「最悪の事態を想定した中止と開催の“両にらみ”へと微妙にスタンスを修正している」(都庁幹部)という。

「変異株の拡大で東京が医療崩壊すると五輪の開催は困難になる。自分にとって得なら方針もコロリと変えるのが小池さん。6月段階で感染収束の見通しが立たなければ、『五輪と都民の命を天秤には掛けられない』と来年春や秋への“再延期”の検討を提案するなど何らかのアクションを起こすのではないか。その方が都議選に有利と判断すればやる人だ」(同前)

 ちなみに小池氏の座右の書が旧日本軍の無謀な作戦を解剖・研究した『失敗の本質』であることも興味深い。

 今年は都議選と総選挙、自民党総裁選を控えている。小池氏が五輪見直し論の火を付ければ、自民党からも「選挙に有利」と判断した議員たちから中止論が噴き出すはずだ。

「ここまで来て五輪中止となれば菅首相は詰め腹を切らざるを得ない。すぐ総裁選になだれ込む」(二階派議員)

 そうなると、自民党の総理総裁候補の中で「五輪中止」を掲げて菅首相に一番槍を突きつけた政治家が「次の総理」の最右翼に躍り出る。

※週刊ポスト2021年5月7・14日号

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