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大谷翔平「シフトの裏をかいてセーフティ」は“ズルい”のか

強打者の小技だからこそファンは熱狂した(時事)

強打者の小技だからこそファンは熱狂した(時事)

 エンゼルス・大谷翔平が絶好調をキープしている。とくに「2番・ピッチャー」のリアル二刀流で出場した4月26日のレンジャーズ戦では獅子奮迅の大活躍。打っては3打数2安打2打点、投げては5回3安打4失点で約3年ぶりの白星をマークした。3ランを打たれた直後の2回表、自ら2点タイムリーを放った第2打席も見事だったが、最も注目されたのが第4打席のセーフティバントだ。これに全米の野球ファンが熱狂した。

 6回表、先頭打者の大谷は高めの初球を三塁線にプッシュバント。ポップフライ気味の打球は無人の三塁線を転がり、投手のヤン・ヒョンジョンは一塁送球を諦めた。これは完全に大谷シフトの裏をかいたプレーだった。大谷が打席に立つと、対戦チームの多くは左打者に備えた内野シフトを引く。二塁手が一二塁間を、ショートがセンター前を固め、三塁手は本来ショートの位置まで守備位置をスライドさせる。そのため大谷はガラ空きとなった三塁を狙ってバントを試みたのだ。

 意表を突くプレーに、現地の実況アナウンサーは「彼はこんなこともできるのか!」と叫び、ネット上にも驚きと賞賛の声があふれた。100マイル(160キロ)を超える投球で先発ローテーションの柱を担い、打ってはホームラン王を争う活躍、さらに俊足を活かした盗塁でもスタジアムを沸かせている大谷が、セーフティバントまで見せてしまうことは、目の肥えたMLBファンにも驚きなのだ。ベーブルースが投打で活躍した100年前ならいざ知らず、投手も野手も分業が進んだ今のメジャーで、「なんでもできる」というスターは大谷をおいて他には見当たらない。

 一方で、日本の一部のファンからは大谷を心配する声も上がっている。「あんな露骨なシフト破りをやると、今度は報復を受けてしまうのではないか」という意見だ。

 メジャーリーグには、「アンリトンルール」(不文律)と呼ばれるものがある。野球規則には記されていないが、対戦相手を貶めたり、敬意を欠いたりするプレーは行なわないという暗黙の了解だ。代表的なアンリトンルールには以下のようなものがある。

・大差がついた試合で、勝っているチームは盗塁やセーフティバントをしてはならない
・完全試合やノーヒットノーランの継続中にバントヒットを狙ってはならない
・ピッチャーが打者を抑えた時や、打者がホームランを打った時に派手なガッツポーズをしてはならない

 そういった行為があると、メジャーではマナー違反とみなされ、死球など報復措置を受けることが少なくない。極端な守備シフトは強打者であると認めるがゆえの作戦だ。そこには相手へのリスペクトの意味も込められている。それだけに、その裏をかいてバントヒットを狙う行為は「アンリトンルール」に抵触してしまうのではないかという懸念だ。

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