ライフ

超高温瞬間殺菌された牛乳、殺菌力高いが有用菌が死滅することも

(写真/GettyImages)

牛乳といっても、さまざまな種類がある(写真/GettyImages)

 牛乳にチーズやヨーグルトなどの乳製品は、私たちの健康にとって、なくてはならないものであると思われてきた。しかし最新の研究によって必ずしもそうではないことが明らかになりつつあるという。健康のために摂っていた乳製品が病気や不調のもとになっているケースもあるというのだ。とはいえ、現代日本の食生活において乳製品を避けて通ることもまた難しい。ならばどう選ぶべきなのか。

 薬食フードライフ研究家の沢木みずほさんは牛乳の「殺菌温度」に注目することを主張する。

「学校給食をはじめとして日本で広く飲まれている牛乳の9割以上は120~150℃で1~3秒殺菌される『超高温瞬間殺菌』という方法を採用しています。しかしこれは諸外国ではレアケース。

 特にヨーロッパにおいて超高温瞬間殺菌の牛乳は長期保存するための非常用や、家畜に飲ませるためのものとして用いるのが一般的です。ヒトが飲むものは、63~65℃で30分または72~75℃で15秒加熱するパスチャライズド牛乳がスタンダード。日本では一般に低温殺菌牛乳と呼ばれています」(沢木さん)

「高温」であればそれだけ殺菌力が高いともいえそうだが、何が問題なのだろうか。

「超高温瞬間殺菌された牛乳は、確かに有害菌は死滅します。が、同時に有用菌も死滅する。微生物の増殖を抑えられるため保存期間は長くなりますが、高温により生乳のたんぱく質やカルシウムが熱変性してしまい、加熱臭と呼ばれる風味変化を起こすことが知られています。超高温瞬間殺菌は質の悪い生乳でも、流通できる牛乳に生まれ変わらせることができるのです」(沢木さん)

 味や衛生状況に加え、栄養面にも違いが出る。

「高温殺菌の牛乳は高い温度で殺菌するぶん、栄養素の内容が変化してしまう。例えば、たんぱく質は高温で熱変性を起こします。乳糖不耐症の要因の1つとして、熱変性を起こしたたんぱく質を消化できないことが挙げられるため、低温殺菌の牛乳であれば下痢や腹痛を起こさないという人も多くいます」(沢木さん)

 善玉菌の中には熱に弱いものもあるため、高温殺菌の牛乳は悪い菌を確実に死滅させる一方、体にいい影響を及ぼす菌まで殺してしまう可能性もある。

 また、「牛乳」と一口に言っても脂肪成分を調整した「低脂肪牛乳」からバターなどを加えた「加工乳」までその種類はさまざまだ。体の状態に合わせて選ぶためにも、知っておくことが重要だ。

※女性セブン2021年5月6・13日号

関連記事

トピックス

ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
【長野立てこもり殺人事件判決】「絞首刑になるのは長く辛く苦しいので、そういう死に方は嫌だ」死刑を言い渡された犯人が逮捕前に語っていた極刑への思い
NEWSポストセブン
ラブホテルから出てくる小川晶・市長(左)とX氏
【前橋市・小川晶市長に問われる“市長の資質”】「高級外車のドアを既婚部下に開けさせ、後部座席に乗り込みラブホへ」証拠動画で浮かび上がった“釈明会見の矛盾”
週刊ポスト
米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
新聞・テレビにとってなぜ「高市政権ができない」ほうが有り難いのか(時事通信フォト)
《自民党総裁選の予測も大外れ》解散風を煽り「自民苦戦」を書き立てる新聞・テレビから透けて見える“高市政権では政権中枢に食い込めない”メディアの事情
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン
出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 電撃解散なら「高市自民240議席の激勝」ほか
NEWSポストセブン