国内

酒を飲まない小池シンパの妻から「家飲み禁止令」 夫の愚痴は止まらなかった

緊急事態宣言発令を前に対象区域の飲食店へ酒類提供停止を呼びかける神奈川県の黒岩祐治知事(時事通信フォト)

緊急事態宣言発令を前に対象区域の飲食店へ酒類提供停止を呼びかける神奈川県の黒岩祐治知事(時事通信フォト)

 今から一年前、新型コロナウイルスの感染拡大によって一回目の緊急事態宣言が発令されたころ、世間の、そしてネットの厳しい目はパチンコ店に集中していた。休業する店舗が増えるに従って、営業を続ける店舗に非難が集中、極端な場合は店舗前で抗議行動をするグループもあらわれた。そしていま、非難の矛先はどこへ向かっているのか。俳人で著作家の日野百草氏が、家飲みまで禁止される例が出るなど、すっかり悪者になりつつある「酒」をめぐる混乱と困惑をレポートする。

 * * *
「うちは家飲みも禁止になりました。自分が飲まないからって酷いものです」

 筆者の後輩、細井順矢くん(30代後半、仮名)の電話はいつもの泣き言から始まった。フリーのエディトリアルデザイナーの彼は妻あり子なし、筆者と同じ家族構成だが、その「妻」が彼の悩みだ。日ごろ、社会運動に熱心でとにかく気の強い奥さんだが、今回もまた、細井くんにある命令を下した。それが”家飲み禁止”だという。

「家で飲むのは禁止されてないはずなのに、非常事態宣言だから飲酒は禁止って無茶苦茶言うんです。ぜんぶ小池(東京都知事)のせいです」

 小池都知事だけのせいでもないし細井くんの言い分は無茶苦茶だが、彼の奥さんは小池都知事などいわゆる”活躍する女性”の熱心な信奉者だ。奥さん自身は諸事情で働いていないが、女性の権利や自由に対する意識はものすごく高い。ある程度時間のある身なので区民活動にも参加している。年金者の多い政治系のボランティアで、30代は若いほうなので重宝かられているという。いまやほぼ全員当選なので区議会議員くらいにはなれそうだ。

「議員は勘弁ですが、活動は趣味みたいなもんだから好きにして構いません。でも今回の件は極端すぎます。飲酒そのものは禁止されてませんよね?」

 それはそのとおりで、あくまで感染予防のための店舗や屋外での飲酒禁止であり、家で酒を飲むことは禁止されていない。これでは単なる恐妻家の愚痴でしかないが、筆者が気になるのは、こうした飲酒そのものに対する攻撃が緊急事態宣言下に増えつつあることだ。実際に筆者も目撃しているが、世の中にはおかしな人がいるもので、店舗や屋外での飲酒行為が咎められているだけなのに、酒そのものを禁止とわめく人がいる。

「そう、それです。うちの区でもコンビニの前で”酒なんか買うな!”って老人に怒鳴られてる若いグループがいました。誰が頼んだわけでもないのに自粛警察気取りです」

こんどは酒かよって思いますよ

 どれだけ繰り返せばいいのか、筆者も中央線沿線の交番で「あの店がまだ酒を出してるぞ! 捕まえろ!」とわめく老人を目撃した。警察官は「わかりました、見回ります」と返すだけ。それはそうだ。その時は4月24日で19時過ぎ、その居酒屋はなにも問題ない。勘違いしているのだろうが、もはや注意がしたいがために徘徊し、とんちんかんな正義を振りかざしている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

3つの出版社から計4冊の書籍が発売された佳子さま(時事通信フォト)
「眞子さんにメッセージを送られているのでは」佳子さま(30)のワイン系ツイードジャケットに込められた“特別な想い”《お二人の思い出の場でお召しに》
週刊ポスト
「W復帰」の可能性も囁かれる(時事通信フォト)
《ダウンタウン“W復帰”の可能性》浜田雅功の休養が松本人志のネット復帰計画に与える影響は?「夏頃にはコンビとしてアクションを起こすのでは」との指摘
週刊ポスト
自殺教唆の疑いで逮捕された濱田淑恵容疑者(62)
【独占入手】女占い師の自殺教唆事件で亡くなった男性の長男が手記「200万円の預金通帳を取り上げられ…」「学費と生活費をストップ」、さらに「突然、親子の縁を切る」 警察に真相解明も求める
NEWSポストセブン
2023年12月に亡くなった八代亜紀さん
《前代未聞のトラブル》八代亜紀さん、発売予定の追悼アルバムの特典に“若い頃に撮影した私的な写真”が封入 重大なプライバシー侵害の可能性
女性セブン
3月17日放送の『ネプリーグ』(フジテレビ系)で女性アナ特番が放送される( 公式HPより)
《一時はお蔵入り説も》渦中のフジテレビが「女性アナ特番」を放送する背景 否定派ばかりではない“アナウンサーのタレント化”と騒動前の現場から出ていた“働きやすくなった”の声
NEWSポストセブン
旭琉會二代目会長の襲名盃に独占潜入した。参加者はすべて総長クラス以上の幹部たちだ(撮影/鈴木智彦。以下同)
《親子盃を交わして…》沖縄の指定暴力団・旭琉會「襲名式」に潜入 古い慣習を守る儀式の一部始終、警察キャリアも激高した沖縄ヤクザの暴力性とは
NEWSポストセブン
濱田淑恵容疑者の様々な犯罪が明るみに
《男性2人に自殺教唆》自称占い師・濱田淑恵容疑者が被害者と結んでいた“8000万円豪邸の死因贈与契約” 被害者が購入した白い豪邸の所有権が、容疑者の親族に移っていた
週刊ポスト
キルト展で三浦百恵さんの作品を見入ったことがある紀子さま(写真左/JMPA)
紀子さま、子育てが落ち着いてご自身の時間の使い方も変化 以前よりも増す“手芸熱”キルト展で三浦百恵さんの作品をじっくりと見入ったことも
女性セブン
被害者の「最上あい」こと佐藤愛里さん(左)と、高野健一容疑者の中学時代の卒業アルバム写真
〈リアルな“貢ぎ履歴”と“経済的困窮”〉「8万円弱の給与を即日引き落とし。口座残高が442円に」女性ライバー“最上あい”を刺殺した高野健一容疑者(42)の通帳記録…動機と関連か【高田馬場・刺殺】
NEWSポストセブン
ビアンカ・センソリ(カニエのインスタグラムより)
《あられもない姿でローラースケート》カニエ・ウェストの17歳年下妻が公開した新ファッション「アートである可能性も」急浮上
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
〈50まんでおけ?〉高野容疑者が女性ライバー“最上あい”さんに「尽くした理由」、最上さんが夜の街で吐露した「シンママの本音」と「複雑な過去」【高田馬場刺殺事件】
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! マイナ免許証の恐ろしい重大リスクほか
「週刊ポスト」本日発売! マイナ免許証の恐ろしい重大リスクほか
NEWSポストセブン