マイルなら現役最強の呼び声も高いグランアレグリア
もうひとつのキーワードは「経験」。牝馬同士の東京マイルGⅠは過去の敗戦を糧にしているケースが目立つ。また15頭のうち前走を勝っていたエイジアンウインズ以外の14頭は、いずれもGⅠで掲示板に載ったことがあった。
ダノンファンタジーは着順だけを見ると、物足りないのは否めない。しかし大きく着順を落としたのは稍重の秋華賞8着(勝ち馬から1.1秒差)、重の府中牝馬S6着(1.1秒差)と高松宮記念12着(0.8秒差)。良馬場で行なわれた他のレースではすべて掲示板を確保している。
ようやく実現したグランアレグリアとの再戦で2年前の「忘れ物」を取り戻し、女王として復活することを期待する。
プールヴィルも同世代。ヴィクトリアマイルは初めてだが、GⅠでの好走歴もある。もちろん社台グループの運動会で意地を見せるシゲルピンクダイヤも押さえたい。もう1頭、GⅠ実績はないがスプリント路線から距離を延ばして結果を出してきたディアンドルもこの世代。福島牝馬Sからの参戦馬は本番で結果が出ていないが、今年は直線の長い左回りの新潟で行なわれていた。
そして、もちろんグランアレグリア。牝馬同士のこのレース見向きもせず、連覇のかかった安田記念、さらに距離克服を証明する宝塚記念へと駒を進めるのかと思ったが、大阪杯からの回復が早かったとのこと。昨年は高松宮記念後に熱発するなどでこのレースを回避したが、1年たって心身共にさらに成長したのだろう。しかし、今回は「受ける立場」での競馬。彼女の最終目標は、このレースではない。
●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。