スポーツ

ヴィクトリアマイルはあえてダノンファンタジーの「復活」に期待する

ダノンファンタジー

かつて最優秀2歳牝馬に選出されたダノンファンタジー

 今週は、過去の覇者に数々の名牝が名を連ねるヴィクトリアマイル。競馬ライターの東田和美氏が考察した。

 * * *
 今年はディープインパクト産駒が大挙10頭出走することが話題になっているが、2006年に行なわれた第1回は、その4年前に旅立ったサンデーサイレンス産駒がやはり10頭出走していて、1~3着を独占した。

 その後の勝ち馬のうち、サンデーサイレンスの血を持っていないのは2頭だけ。それがダービーなどGⅠ7勝のウオッカと、牝馬三冠を始めGⅠ5勝のアパパネという歴史的名牝というから、まさにエリート牝馬の晴れ舞台。

 昨年春秋のマイルGⅠとスプリンターズSを勝ったグランアレグリアの世代には、やはり昨年の春秋グランプリを制したクロノジェネシス、先ごろ香港のQEⅡ世Cを勝ったラヴズオンリーユー、そして3歳時にJCで2着し、今年の天皇賞(春)でも見せ場たっぷりのレースをしたカレンブーケドールなどがいて、牡馬を凌ぐ活躍を見せている。1つ上のアーモンドアイ、ラッキーライラックらに鍛えられた近年稀に見る牝馬の黄金世代といっていい。

 この世代の牝馬で最初にトップに立ったのはダノンファンタジーだった。

 3連勝で阪神JFを勝って最優秀2歳牝馬に選出され、チューリップ賞まで4連勝。桜花賞では1番人気に支持され、距離不安のあったオークスはともかく、秋はローズSを勝って、秋華賞でも1番人気に支持された。

 しかし、GⅠの舞台では勝ち負けどころか、馬券対象にすらならなかった。

 ダノンファンタジーのデビューは2018年6月3日の東京マイル。モズアスコットが勝った安田記念当日。つまり世代最初の新馬戦が行われた週だ。彼女はここを1分33秒9という好時計で駆け抜けたが、2馬身前にいたのがグランアレグリア。これがその後の彼女にとっての「忘れ物」だったように思えてならない。

 2戦目の未勝利戦を勝ち上がって重賞も制し、GⅠ阪神ジュベナイルフィリーズで新馬戦のリベンジをと意気込んだが、グランアレグリアは1週後の朝日杯フューチュリティステークスを選択し肩透かしを食う。ようやく対決が実現した桜花賞では、1番人気で受ける立場になりながら、グランアレグリアに先に仕掛けられて懸命に追走。しかし、最後は後続馬にも差されて4着だった。

 その後、グランアレグリアは3歳暮れにスーパーGⅡの阪神Cを勝つと一躍短距離路線の主役に躍り出て、1世代上のアーモンドアイさえ打ち破り、今年になると中距離王道路線へと舵を切り替えた。

 一方、ダノンファンタジーの4歳時といえば、掲示板に載るのがやっと。今や遠い存在になってしまったグランアレグリアが3歳時に勝った阪神カップに照準を合わせてどうやらこれをクリアしたものの、その後の1400、1200ではあいかわらず苦戦が続いていた。

 ヴィクトリアマイルおなじみのキーワードは「復活」。2006年創設以来の女王15頭のうち、前走勝っていたのは2008年のエイジアンウインズ1頭。第1回の勝者ダンスインザムードは桜花賞以後14戦未勝利、第2回のコイウタも8戦未勝利。3冠馬アパパネもマイラーズC4着、ヴィルシーナは2013年にここを勝った後6戦掲示板を外しており、2015年、2016年連覇のストレイトガールの前走は、それぞれ13着、9着。昨年のアーモンドアイでさえ、前走の有馬記念では生涯唯一の着外(9着)だった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

長男・泰介君の誕生日祝い
妻と子供3人を失った警察官・大間圭介さん「『純烈』さんに憧れて…」始めたギター弾き語り「後悔のないように生きたい」考え始めた家族の三回忌【能登半島地震から2年】
NEWSポストセブン
古谷敏氏(左)と藤岡弘、氏による二大ヒーロー夢の初対談
【二大ヒーロー夢の初対談】60周年ウルトラマン&55周年仮面ライダー、古谷敏と藤岡弘、が明かす秘話 「それぞれの生みの親が僕たちへ語りかけてくれた言葉が、ここまで導いてくれた」
週刊ポスト
小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン