国内

コロナを機に正社員になる国立大卒20代男性「少子化でよかった」

コロナ下での就職活動。少子化のおかげで氷河期のようにはならないのではとも言われている(イメージ、時事通信フォト)

コロナ下での就職活動。少子化のおかげで氷河期のようにはならないのではとも言われている(イメージ、時事通信フォト)

 2010年代の若者世代をさして「さとり世代」と呼んだこともあったが、それは物欲がない、旅行へあまり出かけないなど経済活動の特徴をとらえたものだった。だが、社会の厳しさや生き抜く術を本当に悟っているのは、少子高齢化で日本社会のマイノリティとなってしまった2020年代の若者「ミレニアル世代」や「Z世代」なのではないか。俳人で著作家の日野百草氏が、派遣バイトで募金(および寄付勧誘)活動をしていた国立大卒の若者に、就職への決意を聞いた。

 * * *
「バイトでやってるだけです。本音はこっちが助けて欲しいくらいですけど」

 元は高級飲食店のアルバイト社員だったというカメリエーレさん(20代・仮名)は駅前広場で世界的に有名な団体の寄付を呼びかけていた。筆者にも声をかけてきたが、どうも要領を得ない。しばらく眺め、彼の一団が解散したところで声を掛けると、失業保険給付明けしばらくの4月から派遣バイトでやっているだけだという。

「直接(雇用)のバイトもいるみたいですけど、よくわかりません。ただ人に役立つキャンペーンスタッフということでこの仕事を紹介されただけです。一応の説明は受けましたが、みんなよく知らない人たちです」

 本旨ではないし実態は複雑な「闇」とも言える部分もあるので仕事内容については割愛するが、よく見かけるこの手の街頭募金、寄付勧誘はその世界的な団体や国際機関の職員がやっているわけではなく、アルバイトや派遣がやっているケースが多い(NPO職員やボランティアなど例外はある)。カメリエーレさんは昨年6月まで(本人談)都心のラグジュアリーホテルにも支店のあった高級飲食店でアルバイトをしていたが、コロナ禍の収益悪化により店舗撤退、退職となり、しばらくして登録したのがこの寄付の勧誘バイトだという。

「ほんとにその団体かも知りません。ただ声掛けしろと言われただけです。みなさん国連機関の人とか勘違いしますが、私はただの派遣バイトです」

 もちろん、そうではあってもほとんどは正式な団体がやっている街頭募金、寄付の呼びかけだが真偽は難しい。国際的な組織を騙り詐欺を働く連中も摘発されている。また「募金だし小銭ならいいか」とついて行ったら月契約の寄付だったとか ―― だから筆者もおいそれと「ちゃんとした団体の勧誘である」とか、逆に「詐欺である」などと各地に展開する個々の寄付勧誘、募金行為に関して言い切ることも、正否を下すこともできない。それにしてもターミナル駅のどこに行ってもこの手の勧誘活動、目に見えて増えた。日本人も厳しいコロナ禍、異国の貧困話をされても困る人が大半だろうしチャリティーイベントもままならず、DMを送りつけても効果は薄い。こういった”業界”も苦戦しているのかもしれない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

日本のブライダルファッションの先駆け的存在、桂由美さん
《芸能人も多数着用》桂由美さんが生前嘆いていた「ナシ婚」 ウエディングドレスで「花嫁を美しく幸せにしたい」強い思い
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
小野寺さんが1日目に行った施術は―
【スキンブースター】皮下に注射で製剤を注入する施術。顔全体と首に「ジュベルック」、ほうれい線に「リジュラン」、額・目尻・頰に「ボトックス」を注入。【高周波・レーザー治療】「レガートⅡ」「フラクショナルレーザー」というマシンによる治療でたるみやしわを改善
韓国2泊3日「プチ整形&エステ旅行」【完結編】 挑戦した54才女性は「少なくとも10才は若返ったと思います!」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン