国内

階段崩落事故は氷山の一角か 投資用アパート「これから始まる地獄」

外階段の一部が崩落し、住人の女性が転落死した賃貸アパート(時事通信フォト)

外階段の一部が崩落し、住人の女性が転落死した賃貸アパート(時事通信フォト)

 東京・八王子市の賃貸アパートの外階段が崩れ、住人の女性が転落しした事故は、その施工会社が間を置かずに自己破産を申請したことが非難の的となっている。そして、他に同じような危険な物件が複数あること、短期間にずさんな工事を繰り返していたことが明るみに出てきた。なぜ、このような危険な賃貸物件が増えてしまったのか、ライターの宮添優氏がレポートする。

 * * *
 神奈川県相模原市の建設会社「則武地所」が施工したアパートの階段が崩れ、住人の女性が落下し死亡した事故から、まだ2ヶ月も経っていないが、負う責任を少しでも軽くしようとするかのようなことが相次ぎ、これまで蓋をしてきた不都合な話が吹き出し続けている。

 則武地所はその後、およそ6億円の負債を抱え破産。事故のあったアパート以外にも施工に関わった物件で不具合が相次いで発見され、元社員がニュース番組で、同社の杜撰な工事の実態を告発している。だが、混乱はこれだけで終わりそうにもない。

「事故報道の後も建設中の物件があり、工事は続いていました。でも、破産の話が出た途端に全てストップ。諸費用や人件費の支払いも当然まだで、頭を抱えています」

 東京都内の建設会社代表・中島孝一さん(仮名・30代)は、これまでにも数棟の則武物件の工事に関わってきたが、この一年ほどの間に、さまざまなトラブルがあったことを明かす。

「則武から入金が遅れる、入金がない、ということが相次ぐようになり、同業者と『大丈夫か』と話していたのですが、工事自体もかなり杜撰になっていました。建物自体は則武の社員や、則武が契約している大工が担当し、水回りや外壁などを我々外部の事業者が請け負う形。そして報道にあったように、ありえない場所に木材を使用したり、壁が曲がっていたりしたんですよ」(中島さん)

 中島さん自身、あまりに酷い工事現場の様子から、則武との付き合いを考え直さなければならないと思っていたところに起きた悲劇だった。請負業者という立場上、則武側の杜撰な工事を告発できなかったと悔やむ。

「責任を感じています。社員が『早くやれ』とハッパをかけ、皆うんざりして作業に当たっていたのも事実。現場では工期が最優先、チェック機能もないに等しく、起こるべくして起きたという他ない」(中島さん)

関連記事

トピックス

神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝の番組卒業から1年》中丸雄一、『旅サラダ』降板発表前に見せた“不義理”に現場スタッフがおぼえた違和感
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン
主人公・のぶ(今井美桜)の幼馴染・小川うさ子役を演じた志田彩良(写真提供/NHK)
【『あんぱん』秘話インタビュー】のぶの親友うさ子を演じた志田彩良が明かすヒロインオーディション「落ちた悔しさから泣いたのは初めて」
週刊ポスト
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《いまだ続く広陵野球部の暴力問題》加害生徒が被害生徒の保護者を名誉毀損で訴えた背景 同校は「対岸の火事」のような反応
週刊ポスト
どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン