ビジネス

窮地の百貨店生き残りのカギ 若い「新富裕層」の外商顧客をいかに取り込めるか

時短営業を再開した百貨店だが、苦境は続く(東京・銀座/時事通信フォト)

時短営業を再開した百貨店だが、苦境は続く(東京・銀座/時事通信フォト)

 緊急事態宣言の延長に伴い、大型商業施設の休業要請が一部緩和された。それにより、食料品など生活必需品売り場以外の休業を強いられてきた百貨店でも、平日の時短営業が再開されている。だが、高級ブランドのアパレルなど売り上げ不振に歯止めがかかりそうにない百貨店は、果たしてコロナ後も生き残っていけるのか──。ファッションジャーナリストの南充浩氏が考察する。

 * * *
 昨年春に続いて出されている緊急事態宣言によって、宣言下にある都道府県の百貨店は再び長期休業を余儀なくされました。6月20日までの宣言延長では大型商業施設の緩和措置が発表され、時短営業を再開していますが、今春の売上高は厳しいものとなることは目に見えています。

「旗艦店」の売り上げは激減していない

 東京都は百貨店の営業について、これまでなぜか「高級ブランドの営業休止」にこだわってきた経緯があり、まったく理解不能でした。「密」を回避させたいのであれば、郊外や都心のユニクロの路面大型店を営業休止するほうがよほど効率的だったでしょう。

 百貨店内の高級ブランドフロアなんて、平日はもとよりそれほど客はいませんし、土日でさえユニクロに比べれば入店客数は圧倒的に少ないのです。都知事以下の認識は、インバウンドが活況だった頃かバブル絶頂期のイメージのままなのではないかと勘繰りたくなるほどです。

「高級衣料品は生活必需品にあたらない」として休業要請してきた小池百合子・東京都知事(時事通信フォト)

「高級衣料品は生活必需品にあたらない」として休業要請してきた小池百合子・東京都知事(時事通信フォト)

 それはさておき、今回は百貨店ビジネスの凋落と今後の生き残り策について考えてみたいと思います。

 まず、百貨店全体の売上高が下がり続けている最大の理由としては、百貨店の店舗数が地方・郊外店を中心に減り続けていることです。流通業において売上高を増やしたいなら、もっとも簡単な手法は店舗数を増やすことです。あくまでも採算を度外視していえば、店舗を出店すれば例え100円でも1000円でも売上高が稼げますし、店舗数を増やせば増やすほど売上高が増えるのは当然です。

 しかし、いま百貨店の全国店舗数はすでに200店を切ったと言われています。店舗数が減った最大の理由は、地方・郊外店が閉鎖され続けているからです。逆に東京都心や大阪市内のような大都市にある旗艦店の店舗数はほぼ減っていませんし、コロナ禍による休業時を除けば、旗艦店の売上高も激減しているわけではありません。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト