現実的な生き残り策は「外商」の維持・強化

 では百貨店はこのまま消滅してしまうのかといえば、それはあり得ないでしょう。恐らく都心部や大都市の旗艦店は残り続けるでしょう。

 なぜなら、ひとつ例を挙げると根強い贈答品需要があるからです。お中元やお歳暮、何かのお祝い品などは、どんな店でも売られているナショナルブランド品であっても、百貨店からの送付が喜ばれます。ビールの詰め合わせにしても、味は同じなのにイオンよりも百貨店から送られてきたほうが価値が高いと思われます。こうした需要は今後もゼロにはならないでしょう。

 その他、百貨店の強さを象徴するビジネスとして「外商」が挙げられます。いわゆる富裕層の顧客向けサービスです。外商ビジネスについては決算発表などでもあまり触れられず謎に包まれた部分が多いのですが、最近はネット上でも外商に関する匿名記事も散見されるようになってきました。

 外商とは、年間での買い物額が何百万円かを越える(百貨店によって設定額は異なるらしい)上得意様相手の販売サービスで、顧客は百貨店内の専用サロンに入室し、くつろぐことができるほか、年に何度かの百貨店主催のシークレットパーティーに参加できると言われています。また、カタログや製品サンプルを携えて自宅を訪問してくれることも。

 シークレットパーティーは一流ホテルなどの一室を借り切って秘密裏に行われると言われており、外商顧客だけが招待されて、お酒や食事が提供されます。当然、この場でも高級品がセールスされます。こういう上得意顧客の名簿を持っているのが百貨店の強みです。

 百貨店関係者に取材すると、百貨店不況と言われていても外商の売上高はそれほど減っていないとのことで、根強い富裕層の需要が伺えます。

百貨店に行かない「上得意客」をいかにつかめるか(写真はイメージ)

百貨店に行かない「上得意客」をいかにつかめるか(写真はイメージ)

 しかし、その一方で外商顧客の高齢化が指摘されています。高齢化した現在の外商顧客数はこの先確実に減っていくでしょうから、百貨店が取るべき方法としては、現在の外商ビジネスを維持しつつも、20代~40代の若いビジネス成功者層を新規外商顧客として取り込む必要があります。

 若くしてベンチャービジネスを成功させたような“新富裕層”は多数出現していますが、この年代の人たちは百貨店をこれまであまり利用していませんから、金持ちになったからといっていきなり百貨店外商の顧客にはなりません。こうした層を取り込んで外商の強化を図ることが最も現実的な百貨店の生き残り策だといえます。

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