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2021.06.03 16:00  週刊ポスト

映画に学ぶ辞世の言葉 『父と暮らせば』『天国までの百マイル』ほか

日本映画のじわりと染み入る「辞世の言葉」を紹介。写真は『痛くない死に方』(2021年、渋谷プロダクション)/(C)「痛くない死に方」製作委員会

日本映画のじわりと染み入る「辞世の言葉」を紹介。写真は『痛くない死に方』(2021年、渋谷プロダクション)/(C)「痛くない死に方」製作委員会

 死の間際に残す言葉には、その人の人生が凝縮して現われるという。銀幕の世界では、戦争や任侠などの華々しい死ばかりでなく、認知症や闘病生活の末の、一般的な暮らしの中にある死が描かれることも決して少なくはない。

 しかし、映画の中で最後の別れの言葉に「名言」とされるセリフはあまり見当たらないと話すのが、映画評論家の寺脇研氏だ。

「洋画では『愛している』という言葉がよく使われます。しかし、日本ではどんなに家族や恋人を大切に想っていても『愛している』はめったに使いません。言葉ではなく、まなざしや仕草などで伝える以心伝心のような描写が日本映画には多いのです」(寺脇氏)

 ストレートではない分、「心にじわりと染み入るセリフが多いのが日本映画なのです」と言う。いずれ誰もが迎える「死」。あなたなら、どんな言葉を残したいと思うだろうか。寺脇氏が、数ある映画の中から心にじわりと染み入る「辞世の言葉」を紹介する。

「一度だけ 浮気しました 許せ妻」

『痛くない死に方』(2021年、渋谷プロダクション)より
監督:高橋伴明 出演:柄本佑、余貴美子、宇崎竜童

【あらすじ】在宅医師の河田仁(柄本佑)は、判断ミスから末期がん患者を苦しみながら死なせてしまったことで自分を責める。その2年後、河田は再び末期がん患者の本多彰(宇崎竜童)を担当することになった。

「自分の意思を尊重できる最期を在宅医とともに求めていく物語。最期に残した俳句には、口では言えない、飾りっ気のない自分が表現されています。それを『知ってましたよ』と笑って許せる奥さんも素敵です」(寺脇氏)

「人間のかなしかったこと、たのしかったこと、それを伝えるんがおまいの仕事じゃろうが」

『父と暮せば』(2004年、パル企画)/(C)2004「父と暮せば」パートナーズ

『父と暮せば』(2004年、パル企画)/(C)2004「父と暮せば」パートナーズ

『父と暮せば』(2004年、パル企画)より
監督:黒木和雄 原作:井上ひさし 出演:宮沢りえ、原田芳雄、浅野忠信

【あらすじ】昭和23年の広島。図書館で働く美津江(宮沢りえ)は、原爆から生き残ったことに負い目を感じていた。そこへ原爆で死んだはずの父・竹造(原田芳雄)が魂となって現われ、娘を癒やし、前向きに生きさせようと語りかける。

「原爆は一瞬で多くの命を奪い去った。最期の言葉を残す時間すらなかった人たちにとって、この言葉は今を生きる人たちに、そして自分の子や孫、ひ孫にまで伝えたい言葉でもあると思います」(寺脇氏)

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