「お母ちゃん、たぶん死ぬだろうけど、息が上がる時に、こうして手を握っててほしいの。救急車の中でも、病室でも、手術室でも」
『天国までの百マイル』(2000年、日活)より
監督:早川喜貴 出演:時任三郎、八千草薫、大竹しのぶ
【あらすじ】バブル崩壊で会社と妻子を失い、さえない日々を送る城所安男(時任三郎)。そこへ、母・きぬ江(八千草薫)が入院したとの知らせが入る。母を救いたい一心で、安男は名医のもとへ母を連れていく決意をする。
「主人公は、兄や姉は立派に巣立っているが、自分一人だけ落ちこぼれというコンプレックスを持っています。しかし、息子への母の愛は少しも変わりません。死の恐怖に立ち向かう気持ちと、息子への愛情とが混じった言葉です」(寺脇氏)
「ええ一生じゃった」
『あの、夏の日 とんでろじいちゃん』(1999年、東映)より
監督:大林宣彦 出演:小林桂樹、厚木拓郎、勝野雅奈恵
【あらすじ】認知症が始まりかけた祖父(小林桂樹)の面倒を見るために、小学5年生の由太(厚木拓郎)は夏休みの間、尾道を訪れることに。祖父と過ごす日々は不思議なことの連続で、由太は少しずつ変わり始める。
「孫に『死ぬとどうなるの?』と聞かれ、『死んだことがないから分からん』と答えた祖父は、生きていた頃のことはよく覚えていると昔を思い出し、いい一生だったと振り返ります。なかなか言える言葉ではありません」(寺脇氏)