芸能

『リコカツ』の永山瑛太 高倉健とMr.ビーンが共存する職人的な演じ分けが凄い

番組公式HPより

番組公式HPより

 イマドキのドラマは視聴率のみならず様々な観点から“計測”が可能だ。圧倒的に女性に支持されているという作品について、ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

 * * *
 コロナ禍で在宅時間が増え、いろいろと変化が起こっているようです。庭師の人から「プロに手入れを依頼する人が増えた」という話を聞きました。「家にいる時間が長くなり、伸びきった枝や埋まっていた根っこの処理、はびこった雑草に目がとまるようになったんでしょう」

 掃除や不要な衣服や本の断捨離と次々に課題を終えた後、いよいよ放置していた庭木の手入れへと関心が移ってきているのかもしれません。

 見ないふりをしてきた、家の中のさまざまな課題。コロナ禍で時間ができていよいよ目をむける時が到来した--もしかしたら『リコカツ』(TBS系金曜午後10時)のテーマもそれと共通している?

「リコカツ」とは、離婚する準備活動のこと。それをテーマに据えたドラマ『リコカツ』の視聴率は初回9.7%、以後8~9%台と数字的には横ばいで「ヒット作」とは呼ばれないのかもしれません。しかしこのドラマ、ある突出した特徴が見てとれる。それは何かというと?

「50~60代の既婚者が最もよく見ている」「圧倒的に男性より女性がよく見ている」「20~49歳の女性既婚者も、数字は下がっていない」(「身につまされる…?『リコカツ』が娯楽にならない世代の憂鬱」FRIDAYデジタル2021年5月28日付)つまり、女性視聴者がダントツ多く、かつ途中で脱落する視聴者が少なく継続的な視聴が目立つ、そんな傾向がはっきりあるようです。

 いったいなぜ、『リコカツ』にはこうした傾向性が見てとれるのでしょうか?

 物語は……運命的な出会いをきっかけに交際ゼロ日で結婚した咲(北川景子)と自衛隊のエース隊員・紘一(永山瑛太)が主人公。咲はファッション雑誌の編集者でインテリアにもこだわりが強い。対して元自衛官で厳格な父をもつ紘一は、絵に描いたようなカタブツ人間。2人はファッョンも趣味も食べ物も何もかも溝がある。結婚式を済ませるやいなや、生活習慣の違いや価値観の違い、求めることの違いでぶつかり合い大げんか。新婚早々、離婚に向けた活動=リコカツを始めて、とうとう離婚届にサインし……。

 というストーリー以上にまず目についたのが永山瑛太が演じる紘一の違和感です。「古来から男は女を守るものと決まっている」とのたまい、起床ラッパで早朝4時に起きて家訓を唱和。イマドキそんな男いるかいな!と鼻につく。GIカットにムキムキ筋肉を誇示し、これまでと全く違う永山さんの姿にも当初、拒絶反応を起こしてしまったのですが……。

 しかし。これを一つの「カリカチュア(誇張や歪曲を施した人物描写)」の挑戦として眺めてみると、その徹底ぶりには舌を巻く。

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン