芸能

尾野真千子が主演作で見せた圧巻の“怒り” コロナ禍の“理不尽”を代弁

最新出演映画のプロデューサーが語る尾野真千子の魅力(Getty Images)

理不尽な世の中への怒りと悲しみを体当たりで表現した尾野真千子(写真/Getty Images)

 尾野真千子(39才)が4年ぶりに単独主演を務めた映画『茜色に焼かれる』が、5月21日より公開中だ。緊急事態宣言 のさ中での封切りだったが、映画レビューサイトでは初日満足度第1位を獲得し、SNSでは「作品を観て力が湧いた」、「明日を生きるエネルギーをもらった」といった言葉が並んでいる。映画や演劇に詳しいライターの折田侑駿さんも、「コロナ禍で厳しい状況に置かれた人々の思いを代弁するような作品」と語る。

 * * *
 映画『茜色に焼かれる』は、『舟を編む』(2013年)や『町田くんの世界』(2019年)などの石井裕也監督(37才)によるオリジナル作品。尾野を主演に迎え、コロナ禍という未曾有のパンデミックに見舞われた世界を生きる、一組の母子とその周囲の人々の姿を描いたものだ。「コロナ禍の描写が秀逸」、「本作で描かれる理不尽さが実感として胸に迫る」といった口コミもあるように、現代社会のリアルな様相が作品に反映されている。

 物語のあらすじはこうだ。7年前に理不尽な交通事故で夫を亡くした主人公・田中良子(尾野)。彼女は夫の賠償金を受け取らず、施設に入院している義父の面倒をみながら、一人息子の純平を大切に育て上げてきた。経営していたカフェはコロナの影響で閉店し、花屋のバイトと風俗の仕事をかけ持ちをするも家計は苦しい。純平は同級生たちにいじめを受けており、良子は数年ぶりに再会した同級生から弄ばれてしまう。それでも母子は、懸命にいまを生きていく。

 石井監督と尾野のタッグのもとに集った座組も素晴らしい。主人公の息子・純平役には、新人の和田庵(15才)が大抜擢。理不尽な環境下で、大好きな母とともにもがき、真っ直ぐに生きる少年を瑞々しく演じ上げている。そのほか、わずかな出番ながらも強く印象に残るオダギリジョー(45才)が良子の夫役を演じ、若手注目株の片山友希(24才)が良子の同僚を好演。良子と同じく社会に翻弄される女性をエネルギッシュに演じ、シスターフッド的関係を築き上げている。さらに、永瀬正敏(54才)、芹澤興人(40才)、泉澤祐希(27才)、鶴見辰吾(56才)ら日本映画界を支える者たちが集結。この座組の先頭に立ち、圧倒的な熱量で率いているのが主演の尾野なのだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン