国内

富士山は“噴火スタンバイ状態”と専門家 2021年は世界でも噴火多発

富士山に噴火の危機?(時事通信フォト)

富士山に噴火の危機?(時事通信フォト)

 古くから人々を魅了してきた富士山の美しい稜線は、幾度もの噴火により山頂から吹き出したマグマが緩やかに積み重なった歴史の産物でもある。数万から数十万年をかけて現在の姿となった富士山は、いま新たな大噴火の危機を迎えている。

「富士山は300年ぶりの大噴火に向けた“スタンバイ状態”に入っています」

 そう語るのは、火山学の権威で京都大学名誉教授の鎌田浩毅氏だ。2011年の東日本大震災をきっかけに、富士山地下のマグマに影響が及んだという。

「東日本大震災で富士山の地下20kmにあるマグマ溜まりが揺すられ、噴出しやすい状態になりました。その4日後、3月15日には富士山の地下14kmで地震が起こり、マグマ溜まりの上の岩盤が割れた。この2つの条件が重なり、富士山は噴火しやすい状態に入ったのです」(鎌田氏)

2021年は世界中で噴火が多発している

 4月25日、鹿児島・桜島が、上空2300m超まで立ちのぼる噴煙を伴って噴火した。その瞬間、雷鳴のような爆音が轟き、近隣住民は背筋を凍らせた。今年は海外でも噴火が相次いでいる。2月にヨーロッパ最大の活火山であるイタリア・エトナ火山、3月と5月にインドネシア・シナブン火山が噴火。5月22日のコンゴ・ニーラゴンゴ火山の噴火では、30人以上が死亡、5000人以上が隣国に避難した。

 富士山は有史以降、記録が残っているだけでも10回以上の噴火を重ねている。そして、次の噴火のきっかけになるとみられているのが、マグニチュード(M)9.1と予測される南海トラフ巨大地震だ。

「1707年、南海トラフを震源とするM9クラスの宝永地震が発生し、その49日後に富士山の宝永噴火が起きました。南海トラフ巨大地震が起きたら、発生から約1か月後に富士山が噴火する可能性があります」(鎌田氏)

 政府の地震調査委員会は南海トラフ巨大地震について「今後30年以内に70~80%以上の確率」で発生するとしているが、鎌田氏は「2035±5年、すなわち2030年代には必ず起こると考えるべき」と警鐘を鳴らす。その日は、確実に迫っている。

製図/タナカデザイン

※週刊ポスト2021年6月18・25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン