“志乃流”が炸裂する“ながら”エクササイズ
ダラダラ食べないという食生活同様、日常動作もメリハリがきいている。
「私、家ではほとんど座りません。たとえ座ってテレビを見るときでも、床に足をまっすぐに伸ばし、背筋を伸ばした体勢をキープしています。立つときも、“立てひざ”をしながら、一度お腹に力を入れてすっと立つ。ジムに行かなくたって、これだけでもけっこういい運動ですよ。その間に中尾さんが『お茶!』とか『水!』とか言ってきますが、『この人使いの荒さのおかげで体が動かせる』と、前向きにとらえています」
と、笑う。前屈みの姿勢が多い家事仕事も、彼女の手にかかれば立派なエクササイズに。
「たとえばキッチンでは、意識してよい姿勢をとりながら美しく横移動するとか、洗い物もスクワットの状態でしています。大事なお皿を洗うときは危険ですけれど(笑い)。
柔軟体操としては、ひざと背中を曲げず、腰からまっすぐ前屈したまま、床の洗濯物をたたんでいます。床に手がつかない人は、少し低いところにあるものを前屈しながら取ってみるとか、手を伸ばしたままものを拭くのも効果があると思います。回数は決めず、調子のいいときだけやる。いつでもサボれるのが“家事をしながらエクササイズ”のよさですから」
脚力を鍛えるため、遠くのスーパーへもスタスタと歩く。
「慣れていないかたにはおすすめしませんが、時々ピンヒールを履いて出かけるようにもしています。いま、こうして電話で話している間も、私、片足で立ってるのよ(笑い)」
“どんなときも工夫次第で体は鍛えられる”を、まさに地でいく生活。いますぐマネできることが多そうだ。
【プロフィール】
池波志乃(いけなみ・しの)/女優、エッセイスト。1955年生まれ。俳優小劇場養成所を経て新国劇に入団。1973年『女ねずみ小僧』(フジテレビ系)でデビュー。中尾彬と「芸能界一のおしどり夫婦」としてバラエティー番組を中心に幅広く活躍中。
取材・文/佐藤有栄
※女性セブン2021年6月24日号