地元志向の高まりは本当か

 また、今年の入試では地元志向が高まるとされ、地方国公立大の人気が上がると見られていたが、表からも分かるように山口大学、三重大学のように志願者が増えた大学もあれば、新潟大学、広島大学のように減ったところもあり、一概に地方の大学の志願者が増えたとは言えない。

 ただ、地方の受験生が、新型コロナ感染が拡大している東京圏など大都市圏の大学を積極的に受けなかったことは明らかだ。

 大学通信の調査によると、合格者にはなるが、東京圏の国立大に占める1都3県の割合は、東大、東京工業大学は昨年に比べて下がっている。難関大の人気はコロナ禍でも変わらなかったようだ。

 ただ、お茶の水女子大学が昨年の51.4%から59.0%に上がっているのをはじめ、電気通信大学55.9%→61.0%、東京農工大学65.9%→71.0%、横浜国立大学57.3%→64.5%などと大きく上がっている。今まで東京圏の大学を目指していた受験生が、地元の大学あるいは近隣の大学を目指したことに他ならない。

 コロナ禍がどうなるかにもよるが、受験生の不安は大きく、このままいけば国公立離れはさらに進むだろう。言い換えれば、国公立大は来年入試で狙い目になってきていると言えそうだ。

●文/安田賢治(大学通信常務取締役)

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