中曽根派は少人数で資金力もないから、地元の戸別訪問をきめ細かにやる。「常在戦場」が中曽根さんの口癖でした。
海軍の頃からの習慣なのか、中曽根さんはとにかく早食い。お腹が弱いという問題を抱えていて、演説会場に着くとまずトイレという時期もあった。だから私が常在戦場を踏まえて、「もっとしっかり噛んでください。戦いの場(演説会)に行くのにそれではダメでしょう」と進言したんです。
それからはよく噛んで食べるようになり、「内臓の調子がよくなった」と喜んでいました。
一昨年、お亡くなりになる直前にお訪ねしたら、中曽根さんは私の手を両手で挟み「島村君にはお世話になった」と言ってくださいました。101歳半まで長生きされましたが、私のアドバイスで食事をよく噛んで食べるようになったことで長生きできたという感謝の気持ちだったのでしょうか。
※週刊ポスト2021年6月18・25日号