国内

中曽根康弘氏の後輩指導法 勉強しろとは一切言わず、本を渡す

島村宜伸元農水相が中曽根康弘氏との思い出を振り返る(時事通信フォト)

島村宜伸元農水相が中曽根康弘氏との思い出を振り返る(時事通信フォト)

 島村宜伸元農水相は中曽根康弘氏の側近として長く仕えた。島村氏が政治の師とその言葉について振り返った。

 * * *
 父・島村一郎は衆議院議員でしたが、私は政治家になるつもりはなく、日本石油に就職しました。

 ただ、地元の江戸川区の下水道整備が遅れているのを見るに見かねて、砂防会館に行った時、事務所から出てきた中曽根さんとバッタリ。それが最初の出会いでした。

 せっかくなのでお話ししたいと言うと「5、6分ならある」と部屋に通され、お互いの持論をぶつけあって結局、40分くらい話した。後日、会社に電話があり、1970年から秘書になりました。

 当時の中曽根派は新政同志会という小さな派閥で、勉強会が中心でした。評論家や専門家を招いて講演を聞く時、中曽根さんはいつも前列に鎮座ましましていました。

「お互い国会議員なのだから対等だ」という考えで、派閥の領袖だからといって威張ることは一切ない。怒鳴っているのは見たことがありません。

 勉強しろとは一切言わない。だけれど「島村、この本、知っているか」とちょくちょく本をくれるんです。自分がお読みになったもので、必ず傍線(ライン)が引かれており、どこが大事なのか分かるんです。それらを読み、中曽根さんと話をすることで、どんどん知識を増やしていきました。

〈1976年、父・一郎が引退すると、宜伸氏は衆院選に立候補。初当選を果たし、その後は文部大臣や農水大臣を歴任していく〉

 私は側近だから応援は後回しでいいのに、わざわざ来てくださった。父は中曽根さんの1期先輩ですが、石橋派に属したいわば政敵。それでも父の東京湾開発の実績などを持ち出して「大変立派な方だった」と褒めるので、地元の方々は目に涙して喜んでいました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《異なる形の突起物を備えた光沢感あるグローブも…》10代少女らが被害に遭った「エプスタイン事件」公開された新たな写真が示唆する“加害の痕跡”
NEWSポストセブン
「みどりの『わ』交流のつどい」に出席された秋篠宮家の次女、佳子さま(2025年12月15日、撮影/JMPA)
佳子さま、“ヘビロテ”する6万9300円ワンピース 白いジャケットからリボンをのぞかせたフェミニンな装い
NEWSポストセブン
オフシーズンを迎えた大谷翔平(時事通信フォト)
《大谷翔平がチョビ髭で肩を組んで…》撮影されたのはキッズ向け施設もある「ショッピングモール」 因縁の“リゾート別荘”があるハワイ島になぜ滞在
NEWSポストセブン
愛子さまへのオンライン署名が大きな盛り上がりを見せている背景とは(時事通信フォト)
「愛子さまを天皇に!」4万9000人がオンライン署名、急激に支持が高まっている背景 ラオス訪問での振る舞いに人気沸騰、秋篠宮家への“複雑な国民感情”も関係か
週刊ポスト
群馬県前橋市の小川晶前市長(共同通信社)
「再選させるぞ!させるぞ!させるぞ!させるぞ!」前橋市“ラブホ通い詰め”小川前市長が支援者集会に参加して涙の演説、参加者は「市長はバッチバチにやる気満々でしたよ」
NEWSポストセブン
ネットテレビ局「ABEMA」のアナウンサー・瀧山あかね(Instagramより)
〈よく見るとなにか見える…〉〈最高の丸み〉ABEMAアナ・瀧山あかねの”ぴったりニット”に絶賛の声 本人が明かす美ボディ秘訣は「2025年トレンド料理」
NEWSポストセブン
千葉大学看護学部創立50周年の式典に出席された愛子さま(2025年12月14日、撮影/JMPA)
《雅子さまの定番カラーをチョイス》愛子さま、“主役”に寄り添うネイビーとホワイトのバイカラーコーデで式典に出席 ブレードの装飾で立体感も
NEWSポストセブン
12月9日に62歳のお誕生日を迎えられた雅子さま(時事通信フォト)
《メタリックに輝く雅子さま》62歳のお誕生日で見せたペールブルーの「圧巻の装い」、シルバーの輝きが示した“調和”への希い
NEWSポストセブン
日本にも「ディープステート」が存在すると指摘する佐藤優氏
佐藤優氏が明かす日本における「ディープステート」の存在 政治家でも官僚でもなく政府の意思決定に関わる人たち、自らもその一員として「北方領土二島返還案」に関与と告白
週刊ポスト
大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン