大規模接種センターへの直行バスの看板に人の列が連なる(Getty Images)
個人の意思で決められるのか
6月下旬からは、大学や企業で新型コロナワクチンを接種する「職域接種」が始まろうとしている。必要とする人のもとにワクチンが行き渡る半面、強制されるケースが広まる心配もある。医師で医療経済ジャーナリストの森田洋之さんが警鐘を鳴らすのは、子供への接種の推進だ。
「ワクチンはメリットとデメリットを天秤にかけて、前者が上回る場合のみ受けるべきもの。しかし今回の新型コロナの場合、若年者は死亡率はほぼゼロに等しい。リスクがほぼない世代を、集団免疫獲得のために強制的な接種の対象とすることは、非常に問題だと感じます」
川上さんはさらなる「同調圧力」が蔓延することを懸念する。
「医療従事者に限らず上司からの圧力だけでなく同僚からもストレスを感じたり、集団の中で自分だけ異質な存在になることに耐えられなかったりして、会社を辞めるケースもあります。かつて、感染力が弱いのに恐ろしい病気だと喧伝され、ハンセン病患者が差別と排除の対象になったように、打たない人、打てない人が差別される社会になることが懸念されます。
接種しないと声をあげることが差別や批判の対象になり、苦しんでいる人の声がかき消されることは、あってはならないことです」
一刻も早くワクチンを接種したい人もいれば、安全性を確認してから接種したい人もいる。どちらの気持ちも理解でき、正しいか間違っているかは決められない。
自分の体は自分で守る。この本当の意味を噛みしめるときなのかもしれない。
※女性セブン2021年6月24日号