ライフ

歴史探訪東京さんぽ 夏の夕立を描いた歌川国芳の名画で隅田川散策

歌川国芳『東都御厩川岸之図』(天保年間1831~1845年)初期(写真=ColBase/https://colbase.nich.go.jp)

歌川国芳『東都御厩川岸之図』(天保年間1831~1845年)初期。写真=ColBase/https://colbase.nich.go.jp

 浮世絵に描かれた名所をゆく、歴史探訪東京さんぽ。今回は、風景版画が流行した時代に活躍した浮世絵師のひとり、多くの江戸の風景を描いた絵師・歌川国芳の描いた隅田川を散歩しよう。『東都御厩川岸之図』(天保年間〈1831~1845年〉初期)では、雨を垂直に描いて、突然降り出した夕方の土砂降りの中を人々が往来する様子が描かれている。

「現在の東京でも見られる、夏の夕立を描いたものです。雨のしぶきが地面で激しく跳ね返っており、これほど雨を強調して描くのは、他の作品にはあまり見られないものです」(岡田美術館・小林忠館長)

 防衛上の理由から当時の隅田川の架橋は数が制限されていたため、渡し船によって対岸へ渡っていた。「御厩川岸」はそのうちのひとつ。絵にある人々の持つ傘に描かれた「ト」の字に似た意匠は、浮世絵の版元である山口屋の商標である。

 隅田川を浮世絵の構図どおりにのぞむと、背中側に両国国技館、関東大震災や東京大空襲のメモリアルパーク・都立横網町公園内に建つ東京都慰霊堂がある。設計は建築家・伊東忠太。

※週刊ポスト2021年7月2日号

関連記事

トピックス

志村けんさんが語っていた旅館への想い
《5年間空き家だった志村けんさんの豪邸が更地に》大手不動産会社に売却された土地の今後…実兄は「遺品は愛用していた帽子を持って帰っただけ」
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日のなかベビーカーを押す海外生活》眞子さん、苦渋の決断の背景に“寂しい思いをしている”小室圭さん母・佳代さんの親心
NEWSポストセブン
自殺教唆の疑いで逮捕された濱田淑恵被告(62)
《信者の前で性交を見せつけ…》“自称・創造主”占い師の濱田淑恵被告(63)が男性信者2人に入水自殺を教唆、共謀した信者の裁判で明かされた「異様すぎる事件の経緯」
NEWSポストセブン
米インフルエンサー兼ラッパーのリル・テイ(Xより)
金髪ベビーフェイスの米インフルエンサー(18)が“一糸まとわぬ姿”公開で3時間で約1億5000万円の収益〈9時から5時まで働く女性は敗北者〉〈リルは金持ち、お前は泣き虫〉
NEWSポストセブン
原付で日本一周に挑戦した勝村悠里さん
《横浜国立大学卒の24歳女子が原付で日本一周に挑戦》「今夜泊めてもらえませんか?」PR交渉で移動…新卒入社→わずか1年で退職して“SNS配信旅”を決意
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン