「16年前の舞台(グリング『海賊』作・演出:青木豪)でわたしに惚れて、13年前のちからわざに呼んでくださったことも、二朗さんの素敵なところ(笑)。
また舞台でも映画でも、佐藤二朗作品の次作がある時にはオーディション受けに行きます。ああ悔しいけど大好きなひとです」(笹野)
映画版『はるヲうるひと』で笹野は、殺伐とした売春宿の中で常に笑顔を振りまく天使のようなキャラクターで出演している。一方の佐藤二朗の役柄は鬼のように冷徹だが、そうならざるを得なかった“傷”も抱え込んでいる。その意味では“傷の痛みを知っている優しい鬼”が原作・脚本・監督を務めたからこそ完成した作品だとも言えそうだ。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)