「佐藤二朗さんの最大の魅力、それは『傷の痛みを知っている優しい鬼』であることだと思います。
俳優としてご活躍される前の二朗さんがどのような過去を歩んできたのかを多くは知りません。もちろん気にならないわけじゃないけれど聞く意味はないし、二朗さんも語りませんから。
でもきっと、傷ついた過去のその傷をなかったものにせず、傷はついたら痛いんだぜということを持って闘ってきたのだろうなと。ひとの傷そのものは目に見えるものではないけれど、二朗さんの芝居やことばからは見えてくるんです。
だから、あんな風に面白可笑しい仏役になるし、ひとの迷いや緊張を可笑しみにできる優しさを持っているのだと思います。でも優しいからって天使なわけじゃなくて、時には思いやりのない時だってあるあるで、でもそこには愛があることを時差で感じる、だから優しい鬼です」
これまで様々な舞台作品に出演してきた笹野鈴々音だが、2005年に下北沢の小劇場で上演された劇団「グリング」の公演『海賊』へと出演したことがきっかけとなり、2008年に初めて「ちからわざ」の公演『ムコウカタ』に出演。その後、今回の映画の原作となった2009年の公演『はるヲうるひと』及び2014年の『はるヲうるひと』再演への出演にも繋がっていったという。