美容家の佐伯チズさんが2020年6月5日に亡くなってから1年。先日、一周忌法要を終えたばかりだ。2020年3月23日にALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断されたことを公表し、「決して諦めない」と、自らの思いを絞り出すように語ってからわずか2か月半後のことだった。あまりにも突然の発症、そして早すぎる進行に、本人と周囲はどう闘ったのか。チズさんの後継者である息子の佳之さんが、本誌・女性セブンに初めて語った。
「チズコーポレーション」代表取締役の佳之さんは、チズさんの実弟の息子に当たる。IT関連企業で役員を務めた後、チズさんより「佐伯を名乗り、会社を継いでほしい」と言われ、2017年に養子縁組をして息子に。7月にはチズさんの夢だったサロンを日本橋・茅場町(東京)にオープンする予定だ。
「それまで病気ひとつしたことがなく、健康診断を受けてもほとんどA判定だったので、まさかこのような深刻な病気になるなんて、本人も私たちもまったく想像していませんでした」(佳之さん・以下同)
「美肌師」として、チズさんは「ひとりでも多くの人をキレイにする」を目標に、病気を公表した後も、出版予定の本の制作を進めるなど、“キレイへの道”を伝え続けていたが、最期は自宅で力尽きた。
訃報を受けた美容家でタレントのIKKO(59才)は、自身のツイッターで、《大先輩の美容家・佐伯チズ先生数々の偉大なる功績は、私達、後輩の道標でありました。今朝、訃報に触れ、ただただ驚きでしたが、天国で、ゆっくりお休みになってください。心からご冥福をお祈り申し上げます。愛をこめて》と追悼した。
幅広い女性に支持を受け、美容家仲間からも尊敬を集めたチズさんの生涯は、本当に「キレイ」を追い続けたものだった。
オードリー・ヘプバーンに憧れ、美容に目覚める
チズさんは、中学1年生のとき、母が愛読していた映画雑誌でオードリー・ヘプバーンを見て、息をのむ美しさの虜になり、ソバカスのない白い肌を目指して努力を始める。
高校卒業後はOLを経て、美容師として働いた後、フランスの香水・化粧品メーカーの『ゲラン』に入社。ここで「洗顔しすぎない」「水に濡らしたコットンに化粧水を含ませて行う“ローションパック”」などの、佐伯式美容法の基礎を築く。