スポーツ

クロノジェネシスは「ドバイ帰り」の宝塚記念ジンクスを打ち破れるか

阪神競馬場のパドック

阪神競馬場のパドック

 上半期の掉尾を飾るGI宝塚記念。上位人気は牝馬が占めることになりそうだ。競馬ライターの東田和美氏が考察した。

 * * *
 ファン投票上位20頭のうち出走するのはわずかに6頭。GⅠ馬は3頭だけと寂しい顔ぶれになったが、その分有力馬は絞り込みやすい。なにしろこのレースは1番人気馬が6連敗中で、その間2、3番人気馬も2回ずつしか馬券にからまず、二桁人気馬が5頭もからんでいる。さらに日本での騎手免許取得以来6年間すべて4番人気までの馬に騎乗していたC・ルメール騎手が一度も馬券対象になっていないという難解なレースだったのだ。

 そのルメール騎手が、ファン投票1位でグランプリ3連覇を狙うクロノジェネシスに騎乗。デビューからすべての手綱を取ってきた北村友一騎手が負傷したためだが、秋にさらなる大舞台を意識している陣営としては、先入観なく乗れる騎手を経験するのは貴重。人気の中心となる。

 しかし、オークス、ダービー、安田記念と、圧倒的1番人気馬は研究・マークされていたこともあって敗れている。ましてやドバイ帰り。「調教の動きを見る限り、遠征の疲れは残っていない」とのことだが、「見えない疲れ」はないのか。

 この2月で調教師を引退した角居勝彦氏は、『さらば愛しき競馬』(小学館新書)の中で、「見えない疲れ」について《開業18年目にして分かったこと》として、こう述べている。《骨格的ダメージは関節に痛みが出るのですぐわかる。ところが筋肉的ダメージは分かりにくい。(中略)まさに季節が変わるくらい後になって出てくることもある》

 招待競走であることに加え、賞金も高額なため、日本からはGⅠ未勝利馬も含め多くの馬が3月のドバイに飛ぶ。多くはGⅠ、GⅡを制したような実績馬だが、日本競馬の流れに嵌っているようで嵌っていない。過去10年で前走が3月のドバイでのレースだった馬はのべ11頭いるが、宝塚記念では未勝利。帰国後最初のレースにJRAの重賞を使った馬はのべ32頭いるが、勝ったのは3頭だけなのだ。

 ケースは少ないが、むしろ凱旋門賞で健闘したナカヤマフェスタ、オルフェーヴルや、コックスプレートを勝ったリスグラシューなどのように宝塚記念を使って遠征、という方が結果を出している。ちなみにこの3頭はドバイには一度も行っていない。

 3冠牝馬ジェンティルドンナは4歳時にドバイシーマCに出走し2着と好走。帰国後の宝塚記念では1番人気に推されたが3着。翌年はドバイシーマCを勝ったが、宝塚記念では9着に敗れている。

 サトノクラウンは4歳時に4月末の香港クイーンエリザベスⅡ世C12着→宝塚記念6着というローテーションだったが、5歳春は海外遠征はせず、大阪杯6着の後、宝塚記念を勝った。しかし6歳時はドバイに遠征しシーマC7着からの帰国後に宝塚記念を使ったものの7着に敗れている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン