スポーツ

2008年の阪神独走からV逸 五輪の影響はあったのか、岡田彰布氏が回顧

岡田彰布氏が2008年シーズンを振り返る(撮影/杉原照夫)

岡田彰布氏が2008年シーズンを振り返る(撮影/杉原照夫)

 ついに16年ぶりのVへ──気の早い虎党たちは大盛り上がりだが、本当にこのまま突っ走れるのか。しかし、16年前の2008年には13ゲーム差を大逆転される“悪夢”を体験している。「6月に貯金20」「主力が五輪出場」など、状況は今季と重なることも多いのだ。そこで、2008年シーズンの阪神監督だった岡田彰布氏に、あらためて当時のチーム状況を振り返ってもらった。

「あの年は北京五輪で主力3人(藤川球児、矢野燿大、新井貴浩)が抜けて、今年と違ってオリンピック中もシーズンが中断されずに続いた。守護神の藤川と正捕手の矢野が抜けたのは痛かったし、新井も新戦力やったからなぁ。もちろんシーズン前からわかっていたことやからいいわけにしたくないけど、五輪で計算が狂ったのは間違いない」(岡田氏・以下同)

 結果的に最も大きな誤算となったのは、3番を任されていた新井だった。腰痛を発症した状態で北京五輪に突入。五輪では4番ファーストでフル出場したが、五輪後は腰椎の疲労骨折で戦線離脱した。

 今夏の東京五輪代表には、阪神から先発の青柳晃洋、中継ぎの岩崎優、正捕手の梅野隆太郎という3人が選ばれている。

「2008年と違って、五輪期間中のシーズンが休みやからね。青柳や岩崎の使われ方はわからないけど、大舞台の経験がプラスになるんちゃうかな。

 とはいえ、オリンピックの影響は、その時次第でもある。2004年のアテネ五輪の時は良かったよ。オレは前年に優勝した星野さんから監督を引き継いで、7回以降を1人1イニングずつ任せる“必殺継投”を確立しようと考えていた。ちょうどアテネで中継ぎの安藤(優也)とオーストラリア代表に入った抑えの(ジェフ)ウィリアムスが抜けたので、久保田(智之)と藤川をリリーフで試せた。それがあって、次のシーズンは『JFK』の勝利の方程式が誕生し、リーグ優勝できた。アテネ五輪がなければ、優勝はなかったかもしれないわけや。

 ただ、北京五輪の時は新井の件もあったし、主力が抜けている間に出てくるべき若手が出てこなかった。五輪はどう転ぶかわからへん」

 2008年は7月22日に、57試合を残してマジック46が点灯したが、五輪代表が抜け、8月の死のロードは6勝8敗。そこから巨人の猛追を受けた。

「残り試合が多すぎて、意味のないマジックやったけどな。あの年は巨人の渡辺恒雄・球団会長が“3位でいい”と発言し、選手は気が楽になっていたのか、終盤に開き直ったような猛追が始まった。

 死のロード以降も、勝率はほぼ5割やったから、阪神も失速というほど悪くはなかった。とにかく巨人が9月に12連勝とか、もの凄い勢いで勝ち始めて、直接対決でも止められなかった。ほんまに終盤の勢いは怖いよ。巨人とはまだゲーム差があったけど、9月初めには危険信号が点灯していた」

関連キーワード

関連記事

トピックス

『マモ』の愛称で知られる声優・宮野真守。「劇団ひまわり」が6月8日、退団を伝えた(本人SNSより)
《誕生日に発表》俳優・宮野真守が30年以上在籍の「劇団ひまわり」を退団、運営が契約満了伝える
NEWSポストセブン
清原和博氏は長嶋さんの逝去の翌日、都内のビル街にいた
《長嶋茂雄さん逝去》短パン・サンダル姿、ふくらはぎには…清原和博が翌日に見せた「寂しさを湛えた表情」 “肉体改造”などの批判を庇ったミスターからの「激励の言葉」
NEWSポストセブン
貴乃花は“令和の新横綱”大の里をどう見ているのか(撮影/五十嵐美弥)
「まだまだ伸びしろがある」…平成の大横綱・貴乃花が“令和の新横綱”大の里を語る 「簡単に引いてしまう欠点」への見解、綱を張ることの“怖さ”とどう向き合うか
週刊ポスト
インタビュー中にアクシデントが発生した大谷翔平(写真/Getty Images)
《大谷翔平の上半身裸動画騒動》ロッカールームでのインタビューに映り込みリポーター大慌て 徹底して「服を脱がない」ブランディングへの強いこだわり 
女性セブン
映画『八日目の蝉』(2011)にて、新人俳優賞を受賞した渡邉このみさん
《ランドセルに画びょうが…》天才子役と呼ばれた渡邊このみ(18)が苦悩した“現実”と“非現実”の境界線 「サンタさんを信じている年齢なのに」
NEWSポストセブン
アーティスト活動を本格的にスタートした萌名さん
「二度とやらないと思っていた」河北彩伽が語った“引退の真相”と復帰後に見つけた“本当に成し遂げたい夢”
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、小泉家について綴ります
《華麗なる小泉家》弟・進次郎氏はコメ劇場でワイドショーの主役、兄・孝太郎はテレビに出ずっぱり やっぱり「数字を持っている」プラチナファミリー
女性セブン
調子が上向く渋野日向子(時事通信フォト)
《渋野日向子が全米女子7位の快挙》悔し涙に見えた“完全復活への兆し” シブコは「メジャーだけ強い」のではなく「メジャーを獲ることに集中している」
週刊ポスト
1966年はビートルズの初来日、ウルトラマンの放送開始などが話題を呼んだ(時事通信フォト)
《2026年に“令和の丙午”来たる》「義母から『これだから“丙午生まれの女”は』と…」迷信に翻弄された“昭和の丙午生まれ”女性のリアルな60年
NEWSポストセブン
6月2日、新たに殺人と殺人未遂容疑がかけられた八田與一容疑者(28)
《別府ひき逃げ》重要指名手配犯・八田與一容疑者の親族が“沈黙の10秒間”の後に語ったこと…死亡した大学生の親は「私たちの戦いは終わりません」とコメント
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト