国内

宮内庁長官「五輪開催懸念」発言 陛下は「首相の暴走」を感じ取ったか

2020年の一般参賀の天皇皇后両陛下(写真/アフロ)

2020年の一般参賀の天皇皇后両陛下(写真/アフロ)

 6月24日、西村泰彦宮内庁長官が定例記者会見でこう発現した。「国民の間に不安の声がある中で、ご自身が名誉総裁をお務めになるオリンピック・パラリンピックの開催が感染拡大につながらないか、ご懸念されている、ご心配であると拝察をいたします」──天皇陛下が五輪開催に懸念を示されているとの“拝察”を述べたのだ。

 象徴としての役割と、国民を思う気持ち。それを両立させようとする陛下。長官に思いを“代弁”させたことについて、象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院准教授の河西秀哉さんは、「内奏がトリガーになったと考えるべきでしょう」と言う。内奏とは、天皇陛下に対して、内閣総理大臣などの国務大臣が国内外の情勢などを報告するもので、1対1の密室で行われる。

「菅義偉首相から内奏があったのは、長官会見の2日前です。五輪開催に際しての感染対策の説明や、開会式への出席の正式な依頼、有観客での開催方針の説明などをしたものとみられます」(皇室記者)

 30分に満たなかった内奏で、陛下はどのような情報を菅首相から得られたのだろうか。

「陛下は、その内奏で何かしらのすれ違いを感じられたのではないでしょうか。陛下は常日頃から世界情勢に関心を持たれ、政府の分科会の尾身茂会長をはじめ、感染症学の権威からも新型コロナに関する情報を集められています。もしも観客を入れて五輪を開催するのであれば、ファクトに基づき、どのように感染者を急増させずに進行させるのか、その説明をお聞きになりたかったに違いありません。

 一方の菅首相は、仲間内でもある閣僚から無観客開催を打診されながらも、最初から有観客に強いこだわりを持ち、その方針を貫いてきた。しかし有観客で“どのように”感染拡大を防ぐのか、その具体的な対策は国民に対しても説明できていませんでしたからね。

 水際対策はすでに穴だらけで、日本入りした複数国の選手団の中から感染者が出ています。陛下は菅首相の“暴走”を感じ取り、国民を思い“感染対策と民意なき有観客開催”にNOを突き付けたのでしょう」(皇室記者)

 五輪とパラリンピックで陛下に求められるのは、開会宣言だけではない。各国からの要人を接遇するのは陛下と雅子さまが中心となる。

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン