芸能

千葉雄大(32)の「あざとかわいい」を裏打ちする知性とサービス精神

見た目だけではない「かわいさ」とは?(時事通信フォト)

見た目だけではない「かわいさ」とは?(時事通信フォト)

 芸能界で「かわいい」キャラを貫くのは、なかなか大変なことだ。かわいさでブレイクした芸能人の多くが、30代を前にすると方針転換を図る。そんな中、今年32歳になった俳優の千葉雄大は、「あざとかわいい」の代表格として君臨し続けている。

「あざとかわいい」は、単なる「かわいい」とは一味違う。自分の魅力を理解した上で振る舞う、そのセルフプロデュース能力の高さも含めて称賛するようなニュアンスが込められている。千葉が「あざとく」なったのは、かつて「かわいさ」との向き合い方に悩んだことが関係しているようだ。

 2017年6月2日に放送された『ZIP!』(日本テレビ系)で、千葉は「『かわいい』って言われたとき、最初は『ありがたいな』と思いつつも、そればかりになってくると『自分はそれだけの人間なのかなと(思う)」と吐露していた。

 多彩な役を演じる同世代の俳優と自分を比べて焦りを感じることもあったそうだが、その悩みを乗り越えることができたきっかけが「あざとい」という言葉だった。千葉は同番組内で「『腹黒い部分も出していいんだ』と思った。二面性というか、選択肢が増えたというか。『かわいい』を振り切ってやりやすくなったかも」と語っている。

「振り切った」ことによって、近年の千葉は、バラエティでも人気を集めている。意外なSキャラで番組を盛り上げ、ついたあだ名が「ブラック千葉」。頭の回転の速さを感じさせるトーク巧者ぶりで、4月からスタートした音楽番組『MUSIC BLOOD』(日本テレビ系)のMCにも抜てきされた。

 千葉自身が称する「面倒くさい性格」を反映したような役どころを演じる機会も増えた。2020年夏に放送された恋愛ドラマ『40万キロかなたの恋』(テレビ東京系)で演じた役どころは、ずばり「宇宙一面倒くさい」男だ。元恋人に憎まれ口を叩く極度の人間嫌いという主人公をコミカルに演じた。

 また、2020年6月に放送された『ダブルブッキング』(日本テレビ系)では、うっかりオンラインデートをダブルブッキングしてしまう二股男役を好演。2018年7月期に放送されたドラマ『高嶺の花』(日本テレビ系)での、ヒロイン姉妹を利用しようと暗躍するイケメン華道家役も好評だった。こういったクズ要素を持ったキャラクターをどこか憎めない魅力でもって表現できるのは、かわいさという確固たる武器を持っているからだろう。かわいい役しか演じられないのではない。かわいさという強力な土台があるからこそ、幅広い役をこなすことができるのだ。

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